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朝大で開催も、課題は山積み――朝鮮半島統一の催し

2014年12月17日10:22AM

フォーラム第二部で司会を務めた徐勝・立命館大学特任教授(左)と発表者ら。(撮影/北岡裕)

フォーラム第二部で司会を務めた徐勝・立命館大学特任教授(左)と発表者ら。(撮影/北岡裕)

分断された朝鮮半島の統一を考えるシンポジウム「統一人文学・世界フォーラム2014」が11月29日、東京都内の朝鮮大学校で開催され、約200人が参加した。テーマは「東北アジアにおけるコリアンの民族主体性の継承と変容」で、約700万人の海外同胞についての討論、発表が行なわれた。

〈コリアンの離散と分断による苦難の歴史を共有し、その痛みを治癒する道、即ち分断(筆者注=日本の朝鮮植民地支配と解放後の民族分断)を克服し、朝鮮半島と海外のコリアンが共に集う平和統一の道を模索する〉 との趣旨のもと、第一部では研究者発表が行なわれたが、各自のテーマのばらつきと時間的制約もあり、配布資料に沿った発表と質疑応答に終始した。

第二部は徐勝・立命館大学特任教授が司会を務め、発表者全員による討論が行なわれたが、南北間の教育の質の違いや、社会制度の差異の擦り合わせなどの具体的課題についての言及に欠けた。

同内容のシンポジウムは、12年末に朝鮮大学校で開催されて以来2回目。今回は、立命館大学コリア研究センター(京都府)、建国大学校(韓国ソウル)統一人文学研究団、朝鮮大学校朝鮮問題研究センター、延辺大学(中国吉林省、延辺は朝鮮民族自治州)民族学研究所の共催で、朝鮮新報社、韓国のハンギョレ新聞社が後援した。

今後はシンポジウムの毎年開催に加えて、延辺、ソウル、平壌(朝鮮民主主義人民共和国)での開催を目指すほか、ロシアや米国の研究者にも参加を呼びかけるという。韓国では昨年の開催の許可が下りなかった。朝鮮大学校のみでの開催に留まる現状は、南北分断の厳しい現実と歩み寄りの難しさを感じさせる。

一方シンポジウム後の懇親会では、参加者らが談笑する姿が見られた。近年は日中、日韓、日朝間の政治的な関係悪化が懸念されるが、学術交流の歩みは地道に続く。

(北岡裕・著述業、12月5日号)

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