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東大がアイヌ民族遺骨の返還拒否

2013年11月8日12:42AM

赤門前で。「これから交渉に向かいます」。(写真/根岸恵子)

赤門前で。「これから交渉に向かいます」。(写真/根岸恵子)

 

1635体に及ぶアイヌの遺骨が全国の大学にあることが今年6月、政府の「アイヌ政策推進作業部会」によって公表され、東京大学には198体の人骨と副葬品等が保管されていることが判明した。「東大のアイヌ民族遺骨を返還させる会」(村尾信一代表)は10月18日、返還を求めて同大学を訪れたが、東大は「話し合いに応じられない。要望にも応えられない」と申し入れを拒絶。職員は無表情で押し黙り、警備員に守護され、対応しないという姿勢だった。 東大の遺骨のほとんどは1888~89年に小金井良精医学部教授が北海道や千島列島(クリル諸島)で蒐集。承諾なく墓地から持ち去ったとアイヌ民族は述べている。東大は100年以上もこの問題を放置し省みることはなかった。

 政府は北海道白老町のポロト湖畔に、2020年度に「民族共生の象徴となる空間」を完成させ、その一部に慰霊施設を設置し、各大学が保管する遺骨を納める予定だ。それを18年に前倒しすることが、今月15日の高橋はるみ北海道知事と菅義偉官房長官の会談で明らかにされた。五輪を利用し、アイヌ民族問題の解決を宣伝する意図が見え隠れする。

 しかし、本来は遺骨を保管する大学がその遺骨の由来を調べ、元の場所に再埋葬するべきだ。アイヌ民族の宇梶静江さんは、「骨を返してください。魂を解放してください」と訴えている。

(根岸恵子・ルポライター、10月25日号)

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