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「入れ墨は伝統」、アイヌ民族が抗議――先住民マオリ女性を入浴拒絶

2013年10月25日4:30PM

「この温泉施設固有の問題ではない」と語る小川さん(左)。右は石井さん。(撮影/平田剛士)

「この温泉施設固有の問題ではない」と語る小川さん(左)。右は石井さん。(撮影/平田剛士)

北海道を旅行中だったニュージーランドの先住民族マオリの女性が、恵庭市内の温泉施設で入れ墨を理由に入浴を拒絶される事件が起き、北海道の先住民族アイヌの間から日本社会の不寛容に対する抗議の声が上がっている。

 被害にあったのは、ハミルトン市でマオリ語の復元活動に取り組むエラナ・ブレワートンさん(六〇歳)。アイヌ民族との交流事業のため来日中だった先月八日、札幌市内の豊平川で執り行なわれたアイヌの「アシリ・チェップ・ノミ(新しいサケ迎えの儀式)」に参加後、食事に寄った温泉施設で入浴を断られた。ブレワートンさんは唇と顎にマオリの伝統的な紋様のモコ(入れ墨)をしている。

 事件を受けて市民グループ「少数民族懇談会」(会長はアイヌの清水裕二さん)は同月一三日、施設や政府に「異なる国や民族の文化を学び受け入れる努力を」と要望。またアイヌ長老会議の小川隆吉さん(七八歳)は今月二日、一一三筆の署名を集め、公衆浴場法に基づき同施設の運営を監督する立場にある高橋はるみ道知事に、謝罪などを求めた。

 アイヌ女性も口の周りに入れ墨をする文化がある。しかし明治政府は「陋習」(いやしい習慣)と決めつけて一八七一年、「自今出生ノ女子、入墨等堅禁ベキ事」と布達。和人との同化政策を進めた。

 原住・アイヌ民族の権利を取り戻すウコチャランケの会代表の石井ポンペさん(六八歳)は、「亡くなった祖母は入れ墨がありました。でも外出時は(口元を隠すために)いつも頬かぶりをしていた」と振り返る。多数派政府による一方的な風習禁止が差別感を生み、アイヌたちを苦しめてきた。

 今回のような事件は「入れ墨=やくざ→入浴お断り」の安易なマニュアルを持つ施設ならどこでも起こりうる。こんな日本はいまだ少数者を切り捨てる社会だと批判されても、反論は難しい。

(平田剛士・フリーランス記者、10月11日号)

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