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排外主義デモにカウンター攻撃――新宿大久保公園でデモ隊が激突

2013年9月25日5:11PM

排外主義デモに抗議に来たカウンターデモのメンバーが、機動隊に囲まれる。(撮影/武馬伶子)

排外主義デモに抗議に来たカウンターデモのメンバーが、機動隊に囲まれる。(撮影/武馬伶子)

日本侵略を許さない国民の会、通称「日侵会」による排外主義デモが九月八日に行なわれたのに合わせ、その中止を求めるカウンターデモ参加者が、出発点となる新宿区の大久保公園に集まった。

「オリンピックが決まってるやろ。恥ずかしいことすんな」。男性が声を荒げて機動隊に詰め寄っていた。デモが始まる数時間も前から一〇〇人以上の群衆が、公園近くで通行止めをしている警察関係者と押し問答を繰り返し、あたりは物々しい空気に包まれた。

「日侵会」デモが出発する時には、機動隊が封鎖していた道だけではなく、通りを挟んだ向かい側の道路にも群衆が膨れ上がり「ヘイトデモ中止!」と口々に叫んだ。

 栃木県から来た男性(四二歳)によると、カウンターデモは「ツイッターで自発的に集まった人がほとんど。主催者がいるわけではない」という。

「おーい、ふざけんなよ、お前ら」

「だれがこの国をつくったんだ」

「うそつきー帰れ!」

 機動隊を挟んで向かい合う排外主義デモとそれに抗議する人々。罵倒に対して罵倒を返す。異なる意見のぶつかり合いはほとんど言葉として聞き取れず、じきに、通路に出るカウンター側は押し戻された。

 詰め寄るカウンターデモに、ある機動隊員は「あなた方の気持ちはわかる。しかし、すべてデモとして申請されたものをいい悪いと判断することはできない」と苦しげに答えていた。

 憲法で保障された「表現の自由」に則ったデモを、警察が止めることはできない。

 日侵会デモは機動隊に守られる形で公園の外に出ていった。「差別を許す国にしてどうする。警察はレイシストを守るのか」(カウンターデモ参加者)。 

 この国では七年後、世界のスポーツの祭典「オリンピック」が開かれ、世界の注目を集める。

(武馬怜子・フォトジャーナリスト、9月13日号)

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