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国連で上田大使の“逆ギレ”発言も――「慰安婦」問題で勧告

2013年7月10日9:16PM

日本軍の性奴隷として扱われた従軍「慰安婦」の問題をめぐる橋下徹・日本維新の会共同代表らの発言などを念頭に、国連拷問等禁止条約委員会が日本政府に勧告(五月三一日付)を出したが、外務省は「現在、中身を精査中」(六月六日、人権人道課)とし、早期に対応する気配はまったくない。

 勧告では、政治家らの「事実を否定する発言」に対して日本政府が「反論」し、法的責任を認め、関係者の処罰や歴史教科書への記載などをするよう求めた。同様の勧告は二〇〇八年に国連自由権規約委からも出されている。

 同じ拷問禁止委の場(第二回日本政府報告書審査、今年五月二二日)ではアフリカの委員の一人から「自白に頼りすぎではないか。中世の名残」と指摘。これに“逆ギレ”した上田秀明・人権人道大使は「日本は世界一の人権先進国だ」(直後に「人権先進国の一つだ」に訂正)とし、苦笑が漏れる会議席に向かって「ドント ラアフ(笑うな)。シャラップ(黙れ)!」との暴言を吐いたことが六月五日付『東京新聞』などで報じられた。

 第一次安倍内閣のときに設けられた「人権人道大使」という名称自体をブラックジョークのようにしてしまった上田・人権人道大使の問題発言についても外務省は「批判があることは承知している」(同)と答えるにとどまった。

 特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウの調査では、国連が日本に是正を求める人権状況の勧告は二〇〇九年時点で一二二件に上っており、ほとんどが改善されていない。これでよく「世界一の人権先進国」などと言えたものだが、ヒューマンライツ・ナウの事務局長で弁護士の伊藤和子さんは「刑事裁判、死刑、『慰安婦』などの問題ではこの二〇年ほど、日本の姿勢は変わっていない。東欧諸国や韓国などは改善されてきているのに。これでは日本は世界的に孤立を深めるばかり」と話す。

(片岡伸行・編集部、6月14日号)

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