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南北協議中止と米朝会談提案――迷走する北朝鮮の狙いは

2013年7月3日5:18PM

動くかと思われた北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国の会談への協議は不成功に終わり、北朝鮮が再び迷走し始めている。

ことの始まりは、六月七日。北朝鮮側は韓国政府に対し、「実務接触」を提案。韓国政府が提案した「南北閣僚級会談」の開催に「逆提案」の形で応じ、「会談」への意欲をのぞかせた。しかし、九日に行なわれた実務者協議で、事態は一変。韓国側が閣僚級会談に際し、金正恩第一書記の側近である朝鮮労働党の金養建書記の出席を求めたことや、韓国側の首席代表が統一相から次官に格下げになったことなどに北朝鮮が反発し、協議は中止となった。

北朝鮮はさらに一三日、「南の挑発的な行動を絶対に容認しない」とし、代表団の人選に関する韓国政府の姿勢を非難。一六日には、米国に「米朝高官会談」を提案するという行動をとった。

こうした北朝鮮の一連の動きを韓国の慶熙大学国際学部のチョン・ジニョン教授は、こう分析する。「北朝鮮の頼みの綱であった中国までもが、習近平国家主席の就任以来、強固な姿勢を取るようになった。さらに、先の米中首脳会談で、習国家主席が北朝鮮の核保有を認めることはできないと発言したことで、北朝鮮は最も手近な『韓国』というカードを切り、歩み寄りの姿勢を見せるしかなかった」。

今回の協議中止に関しては、「政府の対応に批判の声が上がるなどして、韓国が内部分裂することも、北朝鮮にとっては自分たちの立場を強化できるいい機会」となるとし、「特に金正恩の立場は、現在、国内外ともに弱くなっている。自身の立場を誇示するためにも外部への接触を図るしかない状態で、また近いうちに南北会談への接触があるはず」と予測した。米国への会談提起については、「米韓政府を多少混乱させることで、米中韓からの非核化への圧迫を和らげたい狙いがある」との見解を語った。

(渡部睦美・編集部、6月21日号)

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