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安全基準も活断層評価もままならぬまま――首相「再稼働必要」と支離滅裂会見

2012年6月26日6:05PM

大飯原発の再稼働反対を訴える人々。座り込みには俳優の山本太郎氏も参加した。(撮影/横田一)

 関西電力の大飯原子力発電所三、四号機(福井県おおい町)について「原発は重要な電源。国民生活を守るために再稼働をすべき」と会見(六月八日)で述べた野田佳彦首相への批判が高まっている。

 評価をしたのは、首相の会見を求めた西川一誠・福井県知事だけで、嘉田由紀子・滋賀県知事は「国民は納得していない。野田首相の会見は、西川知事一人に宛てたラブレターのようなものだ」と酷評。同じく“被害地元”の山田啓二・京都府知事も「政府はこれまで電力需給の観点から再稼働の必要性を説明してきた」と、理由の変節に不信感を募らせた。

 また橋下徹・大阪市長も首相会見直後、「夏季限定で守られないのは、関西府県民の生活ではなく、電力会社の利益」と批判。さらに翌九日には大阪府市エネルギー戦略会議のメンバーの古賀茂明氏らが「期間限定とするべき」という声明を出した。西川知事と関西広域連合の三知事の評価が食い違う中、矛盾も露呈した。

 西川知事は再稼働の条件として、電力消費地(関西)の理解を得ることを政府に求めていたが、嘉田知事や橋下市長らはそろって期間限定を主張。とすれば、原発を秋以降も動かし続ける選択肢は論理的にありえないはずだ。

 支離滅裂な首相会見で再稼働に邁進する民主党政権。なかでも、野田首相の「原発再稼働」方針への批判は収まらない。安全基準は「暫定」のうえ、基準をつくる規制庁も発足しておらず、活断層評価への疑問や不安もある。

 そもそも、東京電力・福島原発事故の原因を解明することが国民生活の安全のための第一条件のはず。すべてをなし崩しにしての「無責任稼働」に、理解が得られるわけがない。民主党が次期総選挙で厳しい審判を受けるのは確実だろう。

(横田一・フリージャーナリスト、6月15日号)

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