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政治資金規正法違反の疑いも――関電労組政治団体に使途不明金

2012年6月12日5:55PM

 大企業の代弁者として原発推進を掲げ、民主党政権を支えている「連合」―「電力総連」傘下にある関西電力労組。二万人近い組合員を持つこの巨大労組と表裏一体の政治団体「関電労組政治活動委員会」(岸本薫代表・総務大臣届)が、「地区本部」などと称する正体不明の二一団体に対して繰り返し支出を行ない、過去三年間で四〇〇〇万円以上の使途不明金を発生させていることがわかった。

 無届け団体の政治活動は政治資金規正法で禁止。またかりにこれらの支出先団体に実体がなければ、収支報告書虚偽記載の恐れがある。いずれにしても違法性は濃厚だ。

 関電労組政治活動委の政治資金収支報告書によれば、「政策研修会費用」「職場後援会活動費」「友好議員懇談会費」などの名目で一回数万円~一五〇万円、年間三〇~四〇回にわたって過去三年で計四一六三万円を支出。支出先は「関電労組政治活動委員会大阪北地区本部」「関電労組政治活動委員会兵庫地区推進委員会」といった名前の、近畿・北陸・東海九府県に所在する二一団体だった。

 これら二一団体のうち、ひとつとして政治団体の届出をしたものはなかった。当然ながら収支報告書の提出もなく、関電労組政治活動委から支払われた四一六三万円の最終的な使途がわからない事態を招いている。さらに関電労組政治活動委が提出した領収書を点検したところ、すべて欄外に同政治活動委の名前が印刷された「内部伝票」のような書式であることが発覚。組織内部でのカネの動きを対外的な支出に見せかけた「資金洗浄」の疑いも拭いきれない。

 関電労組政治活動委の会計責任者・的井弘氏に聞くと「収支報告書を見ていただければわかる。それ以上は説明する必要がない」とけんもほろろに述べた。各団体の「会長」にも電話取材したが「こちらからは答えられない。的井氏が対応している」などと口は重かった。

 関電労組が地方議会に送り込んだ「関電社員議員」は確認できただけで二五人(うち五人は現在関電OB)。ほぼ例外なく関電労組政治活動委の献金を受け、原発推進の立場で活動をしている。

 なお関西電力には、大阪市歴代幹部と並んで元検事総長の土肥孝治氏が社外監査役として「天下り」している。

(三宅勝久・ジャーナリスト、6月1日号)

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