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宇都宮健児氏再選ならず――日弁連新会長に山岸氏

2012年5月23日6:47PM

 日本弁護士連合会の次期会長を選ぶ再選挙が四月二七日に実施され、東京弁護士会元会長の山岸憲司氏(六四歳)が当選した。本誌編集委員で現職の宇都宮健児氏(六五歳)の再選はならなかった。

 日弁連の会長選は、東京・大阪の主流派閥が推す候補がそのまま会長に選ばれる派閥選挙が続いていたが、二〇一〇年三月の選挙で無派閥の宇都宮氏が立候補し当選。「日弁連はそれまでいい決議はするが、政策につなげる運動が足りなかった」と振り返る宇都宮氏は、「金持ちしか弁護士になれない」司法修習生の給費制問題でも、市民団体などと連携して国への要請など幅広い運動を展開。その結果、一〇年一一月の給費制の廃止と貸与制への移行は延期。現在も通常国会での審議が続いている。

 任期中には東日本大震災、福島原発事故が起きた。震災当日に災害対策本部を立ち上げ、被災地で無料法律相談などの仕組みを確立。三万七〇〇〇件を超える法律相談から浮上した課題を解決するため国に働きかけて、二重ローン問題対策や原発事故被害者の救済スキームづくりなどの立法化、制度化を実現した。

 宇都宮氏は、脱原発などの制度化実現に向けて再選をめざしたものの、今回は派閥の壁に阻まれた形だ。しかし「今後も、一会員として日弁連には働きかけていきます」。反貧困ネットワーク代表などを務め、日弁連でも対策本部を立ち上げた貧困問題にも今後いっそう取り組みたいと意欲は衰えない。

 任期中二年間に日弁連が出した意見書等と会長声明は従来の二倍近い四六〇本超。文科省の被曝限度二〇ミリシーベルト引き上げ、橋下徹大阪市長の思想調査、秘密保全法案などに対する迅速で明確な批判が市民を力づけた。山岸新執行部にはそうした市民目線の姿勢の継続性も求められる。

(山村清二・編集部、5月11日号)

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