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沖縄・ヘリパッド建設反対座り込み――「通行妨害」で住民に不当判決

2012年4月2日7:39PM

「不当判決」の文字を掲げるヘリパッドいらない弁護団。那覇地裁前に怒りの声が響いた。(撮影/浦島悦子)

 米軍ヘリパッド建設に反対して座り込みを続ける沖縄県東村の高江住民を国(沖縄防衛局)が「通行妨害」で訴えた裁判で、那覇地裁(酒井良介裁判長)は三月一四日、住民一人に対し通行妨害禁止を求める判決を言い渡した。

 八歳の少女を含む高江住民一五人に対する仮処分申し立て(二〇〇八年一一月)から三年余。うち「妨害行為」をしたと認定された二人の住民を対象とする本裁判からは二年余。現場視察や集中証拠調べなど、酒井裁判長の熱心な姿勢への期待もあり、全面勝訴を信じていた住民や支援者らから「まさか!」「司法は何のためにあるのか」と怒りの声が上がった。

 権力を持つ国が国民の血税を投じて「国策」に反対する住民を弾圧し、住民運動を潰そうとする「スラップ訴訟(市民参加に対する戦略的訴訟の略語)」。これに住民は「訴権の乱用」だと訴えてきた。被告とされた二人のうち安次嶺現達さんに対する国の請求は棄却。もう一人の伊佐真次さんについても、「第三者をして妨害させる恐れ」や、インターネットなどを通じて抗議行動への参加を呼びかけたことも「通行妨害」だとする国の主張は退けたものの、「国の通路使用を物理的方法で妨害してはいけない」と命じた。

 憲法に保障された「平和的生存権」や「表現の自由」を守ろうと三〇人余の弁護士が結集する「ヘリパッドいらない弁護団」の池宮城紀夫団長は「不当判決だが、国家権力による住民運動抹殺という国の意図は一部棄却された。運動はこれまで通りできる」と激励。伊佐さんは「闘いはこれから始まる。現場で建設を止めると同時に、控訴し裁判も続けていく」、安次嶺さんも「伊佐さんは私と同じことしかやっておらず、きわめて不当だ。これまで同様闘っていく」と決意を述べた。

(浦島悦子・フリーライター、3月23日号)

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