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都の瓦礫受け入れ事業――公社評議員に東電役員

2012年2月14日12:33PM

 岩手県宮古市と宮城県女川町の震災瓦礫を受け入れ、焼却処分する方針を東京都が示している件で、事業を都から委託されている(財)東京都環境整備公社の評議員メンバーに、東京電力執行役員である影山嘉宏氏がいることが分かった。瓦礫受け入れ事業のうち、可燃性瓦礫の焼却事業を請け負っているのが東京電力グループの「東京臨海リサイクルパワー(株)」(以下、TRP)であるため、入札の透明性に関して疑問点が出てきた。東京都は環境整備公社に対し、三年間で二八〇億円の運転資金を回している。

 TRPが受注していることについて環境整備公社は「確かに東電グループのTRPが受注しているが、TRPと直接契約しているのは破砕業者。公社と直接の契約関係はない」と説明している。

 運搬されてきた廃棄物や廃機械の破砕を行なうのは「リサイクル・ピア」「有明興業」「リーテム」など破砕業者。TRPが請け負う焼却は、これら破砕業者との契約・取引になるため、同公社とTRPに直接の取引きは確かに存在しない。しかし、瓦礫受け入れの事業を担う公社の中核を担う評議員メンバーに東電の執行役員がいるのであれば、「直接の関係はない」では済まされないだろう。

 また、瓦礫を焼却することによる住民の被曝、作業員の被曝も深刻だ。「東京二十三区清掃一部事務組合」は一月一八日、江戸川清掃工場の作業員が被曝していたことを明らかにした。同組合がホームページ上で公開したのは、昨年一〇月一三日に実施した「第三回区民との意見交換会」の議事録。議事録によると昨年七月から九月までの三カ月で、清掃作業員が最大〇・〇三ミリシーベルトの被曝をしていた。三カ月の間には江戸川清掃工場だけで約五〇〇トンもの汚染焼却灰が出ている。

 都内で出たゴミの焼却でも被曝者が出ている中、汚染瓦礫の焼却を実行してよいものか、再度検討する必要がある。

(野中大樹・編集部、2月3日号)

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