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野宿者を強制的追い出しか――東京・江東区が「除却命令」

2012年2月1日6:34PM

 東京・江東区役所の「水辺と緑の課」は昨年末以降、竪川河川敷公園改修工事に際して野宿者の住むテント・仮小屋を除去するべく、行政代執行に向けて手続きを開始した。江東区は、「(強制的な)追い出しは行なわない」と明言したにもかかわらず、ここへきて話し合いも無視した強硬姿勢に転じた。

 江東区は昨年一二月二二日に「弁明機会付与通知書」を、対象となる一六軒の小屋に配った。そのため、越年闘争明けの一月五日、当事者たちが法律家とともに弁明書を江東区長に提出。一人一人の居住と人権に関わる重大問題にもかかわらず、区長室は区長の不在を理由に話し合いに応じなかった(総務が代わりに受理)。

 江東区では一二月一一日に、少年グループによる野宿者襲撃(暴行で肋骨を骨折し、所持品も強奪される)という事件が起きている。この件に関して江東区「水辺と緑の課」はもちろん教育委員会も人権推進課も、危機感も誠実さのかけらもない応対。こうした行政の姿勢と襲撃は無関係とはいえない。

 一月一二日には「除却命令」が出された。除却期限は一月一八日の午後五時。このまま進むと、戒告書を経て行政代執行に向けての手続きになる。名古屋・白川公演(二〇〇五年)や大阪・長居/靫公園(〇六年、〇七年)、東京・渋谷宮下公園(一〇年)のような代執行を繰り返してはならない。

 一方、国土交通省の「自然再生工事」による追い出しで緊迫する荒川河川敷堀切橋周辺では、昨年一二月以降も居住者のいる小屋の周囲にフェンスが張られ、重機を投入しての工事が続けられている。

 一月一二日には、機動隊も出動して抗議の看板や猫小屋、畑などを強制撤去した。抗議する当事者や支援者に対しては、警察が罵声を浴びせて突き飛ばすなどの振る舞いが常態化している。

 江東区竪川、荒川河川敷で起きている事態は、明らかに国際人権規約にもホームレス特別措置法にも違反している。一月二二日(日)には、江東区内で抗議集会・デモ(午前一一時 江東区文泉公園 亀戸駅北口)を予定。

(藤田五郎・山谷労働者福祉会館活動委、1月20日号)

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