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野田首相はオバマの選対委員長か――前原政調会長も大統領参謀と密会

2011年12月13日6:07PM

 一一月一六日から一八日まで来日していた米国通商代表部のマランティス次席代表が、前原誠司民主党政調会長らと密会し、TPP(環太平洋戦略経済連携協定)について意見交換をしていた。次席代表の来日は米国の貿易情報紙で報じられた後、外務省と経済産業省が二四日に初めて認めた。

 普天間問題など、米国益の実現に邁進している前原氏の得意技は、要人との密会。同月四日にも密かに沖縄入りしていたが、こうした行動はTPPでも同じなのだ。

 党内からは「外交は政府の専権事項。外務大臣でもない前原政調会長が米側要人と会うのは二元外交だ」という批判が出た。

 川内博史衆議院議員はこう話す。

「マランティス氏はオバマ大統領の選挙参謀としての働きが認められ、通商代表部次席代表に就任された。非常に優秀な方で、大統領再選に向け、米側の要請・要求を再三、日本に来て伝えています」

 輸出増加を再選の追い風にしたいオバマ大統領にTPP参加を要請され、急に党内論議を始めた野田佳彦首相は「オバマの選対委員長」(本誌一〇月二一日号)と呼ぶのがぴったりだ。その選対幹部役を前原氏が始めたといえる。

 この前原氏の密会については、外務省が嘘をついて隠していた。

 一一月一八日、TPP慎重派の勉強会の場で外務省の片上慶一審議官は「首脳会談から一週間近く経ったが、米側から何も言ってきていない」と発言していたのだ。

「交渉に全物品サービスを載せろ」という野田発言をめぐる日米の食い違いの原因が、官僚の事務的ミスであることも判明。NHKの討論番組(一一月一八日放送)で山口壯外務副大臣はこう解説した。

「事前に米日(の官僚)でトーキングポインツ(発言要旨)みたいなものを交換して、その時には『そういうことも言うかもしれないなあ』なんてこともあったけど、現実に野田総理は言われなかった。でも、ホワイトハウスは、後でどういう話が実際に行なわれたのかをチェックせずに、そのまま言っちゃった(発表した)」

 こうした事態に川内氏は「米国のホームページの訂正削除を求めることすらせずに、どうやってTPPの外交交渉、事前協議をするのか。国益など守れるわけがない」と訴えている。

(横田一・フリーリポーター、12月2日号)

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