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「君が代」不起立教員の懲戒処分――最高裁が処分合憲の不当判決

2011年8月15日5:40PM

最高裁の不当判決後、「君が代」強制の問題点を説く原告団代表の竹森真紀さん。(提供/原告団)

全国で初めて卒業式等の「君が代」不起立教員を懲戒処分した北九州市教育委員会に対し、教諭らが処分の取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は七月一四日、教職員側の上告を棄却する判決を下した。

「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘首相(当時)が靖国神社公式参拝を強行した一九八六年、「卒業式等では国旗に正対し、心を込めて君が代を歌うこと」などの「四点指導」を開始し、八九年から懲戒処分を乱発した北九州市教委に対し、同市立小中教諭ら一七人は人事委員会闘争を経て、九六年、弁護人なしの本人訴訟で福岡地裁に提訴(北九州ココロ裁判。のち原告数は一九人に増加)。三三回もの弁論を重ね、二〇〇五年四月、「懲戒処分中の戒告は是認するが、減給は取り消す。四点指導は改定前教育基本法一〇条一項違反」という一部勝訴判決を勝ち取ったが、〇八年一二月の福岡高裁では全面敗訴した。

最高裁判決は、六月六日の都教委による再雇用拒否事件判決等と同様、「校長の起立命令は憲法一九条に違反するものでない」と棄却し、教育の自由の主張も門前払い(却下)にした。ただ、弁護士出身の宮川光治裁判官は「憲法一九条違反部分は高裁判決を破棄し一審に差し戻すべき」という反対意見を付けた。

高校の君が代裁判と同時刻の傍聴抽選となったこの日は、三七人の枠に一二五人が列を作った。

一四日夕刻、都内で開かれた報告集会で、原告の竹森真紀さんは「所属していた日教組系の県教組幹部が『始末書を書けば処分が軽くなる』と言ってきたが、拒否して独立組合を作り、現場で抗い、教育上の信念・良心を培ってきた」と語った。牟田口カオルさんは、「君が代強制ノーの思想・良心の自由を保障させるのは、人格の核心に関わる大切なことだ」と述べた。

(永野厚男・教育ライター、7月22日号)

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