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大阪入管の劣悪な医療に抗議――収容者がハンスト決行

2016年3月3日9:50AM

2月10日(水)、大阪入国管理局(大阪市)の難民申請者など被収容者44人が重病者の診療や長期収容回避を求めて断食を行なう「ハンガーストライキ」を開始した。イラン、スリランカ、中国、ベトナム、ブラジル、タンザニアなどの国籍の男性被収容者が参加した。全被収容者約80人のうち、半数以上が参加する大規模ハンストとなった。

ハンストに先立ち、被収容者は1月6日に25人、同22日には別の収容区画でも27人の連名で、大阪入管側に処遇の改善等を求める要求書を提出。入管に診療を拒否された重病人の事例を具体的にあげ、「死んでからだと遅いです」とも訴えていた。

大阪入管の医療の劣悪さはきわめて深刻だ。私が面会を続けているイラン人男性は脳梗塞のリスクがある人で、昨年11月10日に右半身が麻痺して倒れ病院に救急搬送されたが、以来3カ月以上、入管は一度も診察を受けさせていない。

1月19日に被収容者側が要求書に回答するよう求めると、職員が被収容者には要求する「権利はない」と発言。大阪入管側は発言の事実はなかったとしているが、複数の被収容者が確かに聞いたと証言している。もう一つの収容区画でも要求書に回答がなかったため、10日朝からハンスト決行となった。

入管側は、同日午後にガーナ人男性を「あなたが(ハンストの)リーダーだろう」と言って懲罰房に隔離し、支援者との面会も禁止。さらに男性被収容者全員を10日午後から12日朝まで各居室に施錠して閉じ込め、電話、シャワー等のできない状態に置いた。

ハンスト参加者たちは、懲罰を受けている仲間や重病人のために自分もがんばると語っており、その団結が今回の行動をもたらした。ハンストは15日昼に解除されたが、入管が彼らの人権を顧みず、力で抑えつける姿勢に固執する限り、今後も混乱は続く可能性が高い。

(永井伸和・仮放免者の会、2月19日号)

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