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安保法制でゆらぐ公明党の平和の理念(3)──森田実×中島岳志

2015年7月16日3:21PM

森田さんと中島さん政権離脱論も

中島 憲法の枠組みを超えた解釈改憲はやっていない、集団的自衛権行使は認めていない。閣議決定後、公明党はこう説明しています。つまり、個別的自衛権の範囲内での「武力の行使」を認めた1972年の政府見解と、同じ考えを取っている。この見解は、憲法13条(幸福追求権)に基づいて、国民の生命、自由および幸福追求の権利が「根底から覆される」場合には、やむを得ない措置として自衛権を行使するとしています。

ただ公明党が出している文章を読むと、曖昧にごまかして解釈の余地を持たせている部分がある。

昨年9月14日付の公明党機関紙『公明新聞』は、「日本への武力攻撃に匹敵するような事態にのみ武力行使が認められており、外国の防衛それ自体を目的とした、いわゆる集団的自衛権の行使は認めていません」と閣議決定の内容を説明しています。問題は、「日本への武力攻撃に匹敵するような」と対象を曖昧にしているところです。集団的自衛権を認めていないのはあくまでも「外国の防衛それ自体を目的とした」場合で、「日本への武力攻撃に匹敵する」と強引に認定すれば、集団的自衛権が行使できるようになっている。集団安全保障の余地も十分に残している。

森田 公明党としては、最悪の事態は食い止めたという評価で決着した。最終段階になって、閣議決定の冒頭に「専守防衛」「軍事大国とはならず」「非核三原則を守る」などと書き込めたと(注3)。閣議決定の執筆を担当する官僚が、「どうぞ加えてください」という態度に変わったと言うんです。

実は、閣議決定の前に、公明党と創価学会内から政権離脱論が出ていた。これは安倍たちにも伝えられた。公明党の支持なしには当選できないので、自民党は困った。党内が分裂する恐れも出てくる。なので加筆させたのでしょうが。

(注3)閣議決定の冒頭部分は以下の通り。
「我が国は、戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持しつつ、国民の営々とした努力により経済大国として栄え、安定して豊かな国民生活を築いてきた……(以下略)」

(2015年4月17日号、一部敬称略、つづく)

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