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家族のいる大多数の自衛官も反対――集団的自衛権の行使を許すな

2014年6月25日11:58AM

後遺症の痛みで一日の大半を横になって過ごす池田頼将さん。(撮影/たどころあきはる)

後遺症の痛みで一日の大半を横になって過ごす池田頼将さん。(撮影/たどころあきはる)

安倍首相が解釈改憲で「戦争する国づくり」へと暴走する中、自衛隊関係者の間でも「集団的自衛権の容認反対」の声が高まっている。かつてイラク戦争への自衛隊派兵推進の実務責任者だった元内閣官房副長官補の柳澤協二氏をはじめ、現地での事故、ストレスなどで心身に後遺症が残る元自衛隊員には、とくにその思いが強い。

「家族持ち隊員の8、9割は海外での戦争に反対」と話すのは、元航空自衛官の池田頼将さん(42歳)。2012年9月、池田さんは国(防衛省)を相手取り、国家賠償請求の訴訟を名古屋地裁に起こした。

米軍主導のイラク戦争(03年)で日本政府は海外への派兵を進め、航空自衛隊は物資空輸を担った。空自小牧通信隊(愛知県)に所属していた池田さんは06年4月、クウェートへ赴任。しかし同年7月、米軍車両に基地内で跳ねられ、顎や上半身に大怪我を負った。

現地で適切な治療をされず早期帰国も許されなかったため、現在も後遺症を患っている。口はほぼ開かず、右手には神経系の震えがあり、流動食(栄養剤)を強いられるなど重篤な症状だ。

原告代理人の川口創弁護士は、「当時、政府は密かに武装米兵らのバグダッドへの輸送計画を進めていた時期であり、対米支援のための事故隠しは否定できない」として、「池田さんは軍事的な意図による犠牲者」と話す。

本件では防衛省側が公務災害の認定を渋り、診断書に治癒と書くよう医師に圧力をかけたほか、池田さんに無理な配転やパワハラで退職を強要した手口が判明。身体障害者手帳取得の際は中度の4級としたことも裁判の争点とされる。

集団的自衛権の行方を示す訴訟の期日は6月20日と8月29日となっているが、「自分のような犠牲者が二度と出ないよう、集団的自衛権の行使は絶対に許さない」と、池田さんは怒りを滲ませる。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、6月13日号)

 

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