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子宮頸がん予防ワクチンの厚労省審議委員7割が利益相反――委員の4割が受領「不申告」

Photo20140523-1子宮頸がん予防ワクチンの厚労省審議委員7割が利益相反

多数の副反応が報告されたことで「積極的勧奨の一時中止」となっている子宮頸がん予防ワクチン(以下、HPVワクチン)について、定期接種を再開するかどうかを審議している厚生労働省審議会の正当性に疑義が生じている。

HPVワクチンについて審議しているのは副反応検討部会と安全対策調査会(以下、合同部会)だが、委員15人のうち73%にあたる11人が製薬企業から寄付金等を受領していることがわかったためだ。これまでも一部の委員が受領を申告していたが、審議途中で申告する委員や、厚労省の再調査によって明らかになった委員を合わせると11人に達した。

合同部会は今年1月、「副反応はワクチン成分が原因ではない」とする見解を示している。厚労省は来月にも結論をだす見通しだ。

委員に寄付金や講演の謝礼などを支払っていた製薬企業はHPVワクチン「サーバリックス」を販売しているグラクソ・スミスクライン(株)(以下、GSK)と、同「ガーダシル」を販売するMSD(株)。同ワクチンを成長事業と位置づける両社にとり、定期接種再開の是非は営業利益に直結する。

厚労省がこの4月、再調査に踏みきったのは市民団体などの指摘があったため。そこで明るみに出たのが桃井眞里子、薗部友良両委員の不申告だ(他の不申告委員の詳細は表を参照)。

座長の一人である桃井氏は当初「受け取っていない」としていたが、13年1月の講演の謝礼としてMSDから11万円を受けていた。

適切な申告をしていなかった委員のうち、本誌の取材(質問)に回答したのは五十嵐隆氏のみ。座長である五十嵐氏は、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」(事務局はPR会社「朝日エル」内)の委員も兼ねる。厚労省の再調査後も受領時期が不明だったが、本誌の取材に文書で回答した。

それによると11年12月、当時つとめていた東京大学小児科学教室の奨学寄付金口座にGSKから100万円の寄付金をうけていた。

五十嵐氏は不申告について「今後は今まで以上に注意する」としたうえで、こう主張した。

「利益相反が問題視されなかった時代、国の審議会委員をつとめる大学の先輩方は、今以上に製薬企業から寄付金をもらっていた。その方々から、寄付金と判断は別だとうかがっていた。私も他の委員も同じ基本姿勢だ」

金銭を受け取れば適切な判断はできない――こう証言する委員はまずいない。だからこそ利益相反管理のルールが議論されてきた。

現在は、過去3年度内でもっとも受領額の多い年度につき自主申告が求められ、個別企業からの受領額が500万円を超える委員は審議に参加できない。50万超500万以下の委員は審議には参加できるが議決には加われない。

合同部会では議決に参加できない委員が3人(20%)もおり、「過去3年度でもっとも多い年度」「50万円超500万円以下」という括りでは見えない部分も大きい。

薬害オンブズパースン会議は先月、厚労省に合同部会の委員構成の見直しと、利益相反管理ルールの見直しを求める要望書を提出した。同会議事務局長で弁護士の水口真寿美氏は「利益相反のある委員、議決に参加できない委員の比率が高すぎ、これでは国民の信頼を得られない。現行ルールでは、審議の途中で製薬企業から金銭を受領しても、それが必ずしもわからない。審議参加基準の運用実態を調査し、基準を見直すべきだ」と指摘している。

(野中大樹・編集部、5月23日号)