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取材源を萎縮させる恐れも――「秘密保全法案」提出阻止を

2012年12月3日4:19PM

「STOP!秘密保全法共同行動」の様子=2012年11月8日。(撮影/古川琢也)

 政府が法制化を目指している秘密保全法に反対する集会「STOP!秘密保全法共同行動」が、一一月八日、日本ジャーナリスト会議、日本マスコミ文化情報労組会議などの主催により衆議議院第一議員会館で行なわれた。

 秘密保全法は、防衛や外交、安全保障に関する情報を政府が機密情報に指定し、これを漏らした公務員および情報を漏らすよう働きかけた第三者を厳しく処罰する法律。中曽根康弘政権時代の一九八五年にも「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(通称「スパイ防止法案」)として提出されたが、マスメディアの取材活動を制限し、国民の「知る権利」を侵害するとの批判を各方面から浴び、廃案になった。

 これが一昨年の尖閣諸島沖漁船衝突映像の流出事件を契機に再燃。昨年八月には、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が「法制を早急に整備すべき」との報告書を発表しており、野田佳彦政権は現在、同報告書に基づき法案提出の準備を進めているとされる。

 報告書は「正当な取材活動は処罰対象とならない」との意見を付すが、集会参加者からはこの点への異論が続出。「取材源を萎縮させる恐れは十分にある。そもそも“正当な取材活動”とは誰が決めるのか」(出版労連・寺川徹書記長)などの声が上がった。

 また日本体育大学の清水雅彦准教授(憲法学)は、「かつてスパイ防止法を廃案に追い込めたのは、当時のマスメディアや憲法学者が問題点を鋭く指摘したから。ところが今はメディアが批判に及び腰の上、影響ある憲法学者も有識者会議に取り込まれてしまっている」と指摘。二七年前と比べて厳しい状況にあるとの認識を語った。

 有識者会議の議事録は非公開とされ、法案の全体像は依然見えないものの、早ければ今国会で提出される可能性もある。

(古川琢也・ルポライター、11月16日号)

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