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「一括交付金」でも、辺野古移設は許さない――沖縄県議選、与党過半数ならず

2012年6月25日5:29PM

 日米両政府がこだわり続ける普天間飛行場の辺野古移設は、いっそう困難になるだろう。

 六月一〇日に投開票された沖縄県議選。獲得議席は与党二一人(自民一三、公明三、無所属五)、野党二一人(社民六、共産五、社大三、無所属その他七)、中立系六人(民主・国民新・そうぞう各一、無所属三)となり、仲井眞弘多知事がめざした与野党逆転はならず。多くの県民は、普天間移設問題を最大の判断材料とし「県内移設ノー」という意思を反映する議会勢力の維持を選択した形だ。

 仲井眞知事は結果を受け「一括交付金が追い風になると思ったのに」と、憮然とした表情で語った。

 国政与党である民主党は、県政与党への傾斜を強めつつあることも相まって県民の視線は厳しく、かろうじて一議席を得たのみ。与党入りしても大勢に影響はない。

 投票率は前回県議選より五・三三ポイントも下がり過去最低の五二・四九%(最大選挙区の那覇市は四八・一二%)を記録。与野党問わずほとんどの候補者が県内移設反対などを打ち出したため選挙の争点が見えづらかったことに加え、若年層の政治不信を反映したものだ。それでも「低投票率は保守に有利」という定評は覆された。これは投票した人々の意識の高まりを示している。

 注目の名護市区では、企業ぐるみで期日前投票に送り込むという基地誘致派の従来のやり方を踏襲した与党の末松文信氏(前副市長)と、「稲嶺進市長との二人三脚」を前面に打ち出した野党の玉城義和氏が当選。一方、民主党がバックアップした玉城健一氏は落選した。政権の「辺野古回帰」に抗議して民主党を離党した山内末子氏(うるま市区)は厳しい戦いを強いられたが議席を守った。

 県議選の結果は、政府の公有水面埋立申請に対する仲井眞知事の対応や七月を予定しているオスプレイ配備にも影響してくる。

(浦島悦子・フリーライター、6月15日号)

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