「100mSv以下発がん証拠なし」――副読本に教員ら戸惑い

 文部科学省が一〇月一四日公表した放射線教育の副読本で、甘い被曝許容量を示したことに、教員らから不適切という声が起こっている。

 新副読本は肝心の原発事故については、「はじめに」の頁で、「放射性物質が大気中や海中に放出されました。周辺地域では、放射線量が一定水準を超える恐れがある方々が避難し、一部の地域では、水道水の摂取や食品の摂取・出荷が制限されました」(中学生用)などと、数行触れただけ。

 小学生用の本文では、「放射線は、宇宙や地面、空気、食物、皆さんの家・学校など建物からも出ています。日本では自然から一年間に受ける放射線量は、一人当たり約一・五mSvです」などと、放射線が身近にある事実から説き起こし、X線検査や注射器の細菌退治での利用など長所を教え、「人が放射線を受けても、かぜのように人から人に伝染することはありません」と記述している。

 福島から避難した子どもへのいじめは実際起きており、誤った情報による放射線への不安を抱かせないよう配慮する記述は必要だ。

 だが、小中高校用とも、「できるだけ受ける量を少なくすることが大切」と断りつつも、「短期間に一〇〇mSv以下の低い放射線を受けることで、がんなどになる明確な証拠はない」と明記。

 小佐古敏荘・内閣官房参与の辞任後、文科省自身が「年間一mSv以下が目標」と改めた「一般人の年間許容量」と矛盾する。

 文科省は「近く全国の小中高校と教育委員会に児童生徒用と教師用を一部ずつ計約八万部、福島県は小学三年~高校の全二五万人分を送付する」と言うが、一〇月二二日に開かれた東京の小中高教職員組合の集会等で、現場教員から副読本への戸惑いの声が上がった。

(永野厚男・教育ライター、11月4日号)

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