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袴田事件の再審請求、最高裁が審理の差し戻し決定 
裁判官2人は再審開始主張

小石勝朗|2021年1月29日5:40PM

弁護団と記者会見する袴田秀子さん(中央)。(提供/袴田巖さんを救援する清水・静岡市民の会)

1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」をめぐり、死刑が確定した元プロボクサー袴田巖さん(84歳)の再審請求に対し、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は昨年12月22日付の決定で東京高裁の棄却決定を取り消し、審理を同高裁へ差し戻した。5人の裁判官のうち2人が再審開始を主張したものの、1票差で及ばなかった。

差戻しとしたのは、事件の1年2カ月後に味噌の醸造タンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた5点の衣類の「色」について、審理をやり直すためだ。

最高裁は、衣類が長期間味噌に漬かっていたにしては、付着した血痕に赤みが残っていたことを問題視した。弁護団が同様の衣類を最長1年2カ月間、味噌に漬ける実験をしたところ、血痕の赤みは消失して黒くなった。検察が依頼した学者の実験でも、味噌に漬けた衣類の血痕は黒く変色した。

弁護団は高裁に、血痕の色の変化は血液のたんぱく質と味噌の糖が結合して褐色化する「メイラード反応」によるとする学者の意見書を提出した。だが、高裁はきちんと扱わないまま退けており、最高裁は「審理不尽」を指摘。高裁決定を「取り消さなければ著しく正義に反する」と判断した。

ただ、焦点だった5点の衣類のDNA鑑定については、最高裁も高裁同様に証拠価値を認めなかった。試料のDNAが「極めて微量で変性・劣化している可能性が高い」などと理由づけた。

一方、再審開始を主張した2人の裁判官はDNA鑑定の証拠価値も認めたうえで、高裁に差し戻せば「さらに時間をかけることになる」と多数意見に異を唱えた。

今回の決定により、袴田さんの釈放は当面、維持される。弁護団と記者会見した姉の秀子さん(87歳)は「巖は無実だと思っているが、最高裁のこういう認定はありがたい」と笑顔を見せた。

(小石勝朗・ジャーナリスト、2021年1月8日号)

 

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