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「学術会議任命拒否は違憲」緊急院内集会 
女性学者と若者らが批判

本田雅和|2020年12月21日4:13PM

(左から)大沢真理、羽場久美子、植野妙実子の各氏。(撮影/本田雅和)

市民団体主催の「許すな憲法破壊!緊急院内集会」が11月30日、衆院第一議員会館で開かれ、菅義偉政権による日本学術会議の会員任命拒否問題について学者や評論家、ジャーナリスト、労働団体代表らがリレートークを展開した。

中でも特筆すべきは女性研究者と若者代表の大学生による鋭い批判が精彩を放ったことだった。発言要旨を紹介する。

大沢真理さん(東京大学名誉教授=社会政策/安全保障関連法案に反対する学者の会呼びかけ人/学術会議元会員)

学術会議は優雅なことをしてるところと思っている方もおられるようだが、旅費も手当も返上し、会議に出ても1回1300円。提言や報告のための調査の時間は自分の研究時間を削ってひたすら奉仕の仕事だった。何のためにやるか。科学と社会の仲介者だと思ってやってきた。時の政府やその時の納税者だけでなく、将来世代、広く人類の福祉のために尽くすのが学術会議の使命で、この原点をいささかも損なうことがあってはならない。

羽場久美子さん(青山学院大学教授=国際政治/学術会議元会員)

9年間、学術会議会員として学んだことは、学問とは権力の監視であり、権力に屈してはならないということ。任命拒否された6人の方々は中立的で公正で優れた研究者。そういう人でも政府に反対すれば学術会議の会員にはなれないということ。分野は政権や権力に対して自由に意見を言える人文社会科学。胸に手をあて考えるに、今回の6人が落ちたということは私たちすべてが落ちるということ。戦後ずっと学術会議が拒んできた軍事研究をすれば巨額資金を出すと、現政権は自然科学の方々に言っている。一方で人文社会科学は要らないと動いている。

西中東さん(上智大学文学部新聞学科3年)

自分の学んでいる学問が政府の弾圧の対象となる可能性があると思うとこわい。安心して学ぶことができなくなる。弾圧されるような学問を新たに学ぼうという人は少なくなり、10~20年後には人文社会科学をする人がいなくなり、学問の衰退につながっていくのではないか。本当は僕ら現役学生が声をあげて運動しなくてはと思うが、そうはならない。若者の政治離れもあるし、批判することを嫌悪する風潮がある。

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