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「大阪都」構想否決 
一番の要因は創価学会の票割れか

粟野仁雄|2020年11月16日5:56PM

11月1日夜、記者会見で敗北の弁を語る松井一郎氏(中央)。左は吉村洋文氏。(撮影/粟野仁雄)

「大阪都構想」の二度目の住民投票が11月1日に実施された。反対69万2996票、賛成67万5829票で、2015年の投票に引き続いて否決された。「大阪市」は存続する。

構想を進めていた「大阪維新の会」(代表・松井一郎大阪市長)が大阪市北区中之島の高級ホテルに用意していた会見場で同日午後10時42分、詰めかけていた記者たちがどよめいた。開票速報では賛成が上回っていた時点でNHKが「反対多数が確実」と報じた。

午後11時に登壇したのは維新2人、公明2人の計4人。松井代表は「大阪市民の民意をしっかり受け止める。僕の力不足、けじめをつけたいので(23年春の)市長任期満了で政治家を退く」とし、吉村洋文代表代行(大阪府知事)は「反対派は熱量が強かった。僕が政治家として都構想に挑戦することはない。(進退については)任期満了前に考えたい」とした。公明党の佐藤茂樹会長は「短期間で支持者に理解を得られなかった」などと語った。

一方、自民党府連本部で会見した大塚高司府連会長は「大阪市の廃止を阻止できて安堵している」。反対の先頭に立ってきた北野妙子市議団幹事長は「みなさんに感謝したい」と涙ながらに喜び「このような投票が5年のうちに2回も行なわれるなど、あってはならないこと」と怒りも見せた。

北野氏は「市民には大阪市がなくなると思っていなかった人たちも多かった。今回は前回と違い投票用紙に大阪市廃止と書いてあることも大きかった」と見る。

構想の根幹は橋下徹氏が府知事時代に提唱。今回は大阪市の24区を四つの特別区に再編成し市を廃止するという内容だった。10月12日に告示となった当初は各メディアの世論調査で賛成が多かったが、終盤になると「拮抗」が伝えられた。

反対派の勝利には公明党支持者の票が割れたことが一番大きい。公明党は10月18日に山口那津男代表が大阪入りし 松井、吉村両氏と街宣車の上から賛成への投票を訴えた。

しかし、出口調査などでは公明党支持者の半数近くが反対に回ることが判明していた。「維新憎し」で戦ってきた創価学会員らは前回、反対だった党本部が国会議員の議席を守りたい理由で維新にすり寄ったことに不信感を強く持っていた。

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