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「アベノマスク」受注で社長宅の競売取り下げ? 
ユースビオ、なおも残る謎

三宅勝久|2020年7月13日1:42PM

「アベノマスク」受注後に競売が取り下げられた現在ユースビオ名義の土地建物。(撮影/三宅勝久)

国が総額1000億円近くを投入した「アベノマスク」の受注業者ユースビオ(福島市)の社長・樋山茂氏の自宅(評価額約500万?600万円)が契約当時競売中だったことが取材でわかった。

訴訟記録などによれば、樋山氏が代表を務める樋山ユースポット社名義で日本政策金融公庫から4000万円を借り入れたのは2015年9月。その後1年ほどで支払いが困難になり、18年10月に残元金3500万円などの一括弁済を求める訴訟を起こされて敗訴する。樋山氏は連帯保証人だった。

続いて金融公庫は樋山氏の自宅など不動産2件を強制競売にかけようとするが、樋山氏は所有権を妻名義に移す。これが詐害行為だとして金融公庫が妻を提訴し、妻の敗訴で移転は取り消される。競売は19年9月に開始。他の金融機関2社も競売を申し立てた。

「経済的な余裕がなく、弁護士に依頼する事が出来ません。従って反論することを諦めます」と妻は書記官に宛てて述べている。

経営破綻状態を劇的に改善させたのが「アベノマスク」だった。ユースビオは今年3月16日に2億1000万円、4月7日と15日にそれぞれ14億8500万円、計31億8000万円の契約を厚生労働省と結ぶ。緊急随意契約だ。樋山氏にとっては夢のような救済事業だろう。入金後の4月24日付で競売は取り下げられ、不動産はユースビオが買い取る。競売抹消登記は同27日。ユースビオの社名を厚労省が明らかにした日だった。

資本金1000万円で役員は樋山社長1人。実績不明、看板も電話番号の届けもない。資金繰りは最悪。そんな謎めいた会社になぜ政府は巨額の発注をしたのか。

厚労省は「社長の自宅が競売中だとの事実は知らない。納品されているので問題はない」、ユースビオ代理人の佐川明生弁護士は「(競売について)必要がないので説明していない」と回答した。

(三宅勝久・ジャーナリスト、2020年6月19日号)

 

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