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「ナヌムの家」記録映画上映会で李玉善さん講演

中村富美子|2019年11月13日4:21PM

来日中の記者会見で語る李玉善さん。(撮影/中村富美子)

「川崎から日本軍『慰安婦』問題の解決を求める市民の会」主催で、映画『まわり道』の上映会が10月5日に行なわれた。元日本軍「慰安婦」が共同生活するナヌムの家の20年間を記録した同作の初公開にあわせ、ナヌムの家から安信権所長や看護師に伴われて李玉善さんが来日。立ち見も含め180人が力強い証言に聞き入った。

釜山生まれの李さんは現在92歳。1942年、14歳の時に奉公先で使いに出たところを見知らぬ男2人(日本人と韓国人)に捕まり中国の延吉にある日本軍飛行場に連行され、重労働を強いられながら強かんされた。1年後、延吉の慰安所に送られ、トミコと名付けられて性奴隷に。「幼い娘がどこにそんなもの(慰安所)があるか知るはずもない。日本政府が強制性はないと言うのは耐え難い」

歯向かえば刀で切られ、血を流しながら強かんされる。死ねば大通りに捨てられ、犬に食べられた。

「慰安所というが、少女たちを殺す死刑場と考えてください」

45年の解放後も中国で生き延びた。「顔に『慰安婦』の看板つけて、どうして親兄弟に会えるか」。

2000年にナヌムの家に迎えられ、「同じ体験をしているから尊敬しあえる」仲間の中で、初めて過去を告白できた。「日本兵もある意味では国に強制された被害者かもしれない。それにしてもあまりにひどいことをした……」。

求めるのは公式謝罪と賠償。「私が死んでも慰安婦問題は終わらない。私たちの歴史を否定することは許されない」。渦中の「表現の不自由展・その後」にも心を痛め、訴えた。「『少女像』は私たち自身です」。

その「少女像」はいま韓国で120体。今後もナヌムの家の事業として国内外に増やし、日本では『まわり道』の上映運動に期待するという。来年1月には李さんの半生を描く漫画『草』の日本語版が出版される。フランスでも「ユマニテ漫画賞2019・特別賞」を受賞した注目の作品だ。

(中村富美子・ジャーナリスト、2019年10月25日号)

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