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女装姿の男を「不審者」扱い 
秋田県警や民間サイト炎上

酒井徹|2019年7月3日10:10AM

治安情報サイト「ガッコム安全ナビ」に掲載された「不審者情報」の画像。秋田県警ホームページ掲載の情報を元に作成されたが、「炎上」状態となり、すでに削除された。(提供/酒井徹)

「女装姿の男を目撃した」という「不審者情報」を秋田県警がホームページに載せた。㈱ガッコム(東京都港区)の治安情報サイト「ガッコム安全ナビ」がこの情報を拡散したことに対し、それだけで不審者扱いすることはおかしいとの批判がネット上で相次いだ。

「5月15日(水)20:00ころ/秋田市内/路上において、帰宅途中の女子高校生2人が、女装姿の男を目撃する事案が発生しました」

こうした「不審者情報」を秋田県警が5月21日にホームページに載せた。そこには「行為者の情報」として、その推定年齢や風体も記されていた。だがこの者がいかなる「不審」な「行為」をしたのかは記されていない。県警の他の不審者情報では「児童が、男から後をつけられる事案が発生」などと「行為」が記されている。

ガッコムは同日、「ガッコム安全ナビ」やツイッターにこの情報を掲載した。これに対して同21日には、「女装だけ?/え、なんでダメなの?」(……もふ氏)、「人権意識が無さ過ぎる」(こうし氏)などの返信ツイートが同社ツイッターになされた。2日後の23日には「同じ東北民の女装娘として、ちょっと不安になる事案/安易にA面で街歩けなくなりそう」(そにあ氏)と、当事者からも批判の声が寄せられた。

翌24日にも「当事者としてとても疑問ですし、自分が危険人物として晒し上げられると思うと、恐怖です」(ヒカリ氏)、「女装男性がただ歩いている事は『事案』ではありません。異性装自体は犯罪行為でも加害行為でもありませんし、異性装者をそれだけで『行為者』扱いしこういったアナウンスを流す事は偏見の助長と扇動です」(蛟氏)などと批判の返信ツイートがあった。

25日には筆者も「この『不審者情報』、悪質じゃないですか?女装して町を歩いてるだけで『不審者』扱いされてこんな風に拡散されたんじゃ、性同一性障害とかのトランスジェンダーや異性装者は安心して秋田市で暮らせません。この方が一体どんな悪いことをやったというのでしょうか。『女装=不審』だとしたらひどすぎます」との返信ツイートを行なった。26日にも「これ安全と全く関係ない。トランスベスタイトへの偏見を助長する公式ヘイトスピーチか?」(bingomachi氏)との批判の声が寄せられた。だが、同社は翌27日までこの情報を削除も訂正もせずにサイトに載せ続けた。

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