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「チャンネル桜」が該当動画削除
「慰安婦」問題で名誉毀損

渡部睦美|2018年5月22日12:27PM

取材された韓国人教授が「事実を歪曲された」と抗議していた『週刊文春』の日本軍「慰安婦」問題に関する過去の記事をめぐり、その記事の執筆者であるフリージャーナリストの大高未貴氏による名誉毀損が裁判で一部認められ、大高氏の一方的な主張をYouTubeで配信していた保守系ネット放送「チャンネル桜」が該当動画をすべて削除したことがわかった。

発端となったのは、「慰安婦『調査担当』韓国人教授が全面自供!」と題して『週刊文春』2014年4月10日号に掲載された大高氏執筆の記事。「韓国人教授」はソウル大学名誉教授の安秉直氏のことで、1990年代初めの韓国での「慰安婦」への聞き取り調査に参加した中心的な人物だ。記事には、安氏が「実質的な“調査失敗”」を認めたなどと書かれているが、安氏は「まったくの捏造」だとした。

記事が掲載された『週刊文春』の発売後、安氏が文教大学教授の山下英愛氏に相談すると、山下氏は記事に対する安氏の反駁文を日本語に翻訳しツイッターに掲載した。だが、大高氏はこれを山下氏による捏造文であるかのように「チャンネル桜」配信の動画で批判を展開。山下氏はネット上で誹謗中傷にさらされることになった。

このため、山下氏は名誉毀損だとして大高氏を相手取り、15年に東京地裁に提訴。一部名誉毀損が認められたが、大高氏が控訴し、控訴審が昨年から始まっていた。そして今年1月、その判決が出て、動画は、山下氏が反駁文を捏造したかのような印象を与えるなどとして、一部名誉毀損が認められた。ただ、「反日の民間団体に属していた」など山下氏の経歴についての偏った説明を垂れ流したことなどについては名誉毀損が認められなかった。近年、「反日」というレッテル張りが横行し、過去の戦争責任や歴史を歪める一要素となっていることは、戦後73年という時代の中で再考していく必要がある。

(渡部睦美・編集部、2018年5月11日号)

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