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「トモダチ作戦」訴訟、米政府が日本の見解に反論――被曝兵士の裁判は米国で実施か

2017年2月1日10:28AM

「トモダチ作戦」の被曝兵士(右側2人)と、話を聴いて後に基金を設立した小泉純一郎元首相。2016年5月、米国・サンディエゴ。(撮影/エィミー・ツジモト)

「トモダチ作戦」の被曝兵士(右側2人)と、話を聴いて後に基金を設立した小泉純一郎元首相。2016年5月、米国・サンディエゴ。(撮影/エィミー・ツジモト)

東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事した兵士たちが、東京電力、およびGE(ゼネラル・エレクトリック)などの原発メーカーを米国において訴えた「原発訴訟」。この間、日米間の「裁判管轄権」をめぐる争いが繰り広げられてきたが、一つの山を越えつつある。

米国カリフォルニア州サンディエゴ連邦地裁による、「米国での裁判進行」という判決を不服とする東電は、同州パサデナ連邦巡回高等裁判所に上告。それを受けた日本政府は、「法廷助言人(amicus curiae)」として見解を提出、米国での裁判進行を阻止する立場で、「東電の地裁に対する不服を支持する」との意見陳述を展開した。これに対し日本で多くの原発裁判にかかわる河合弘之・海渡雄一両弁護士は、日本で裁判が行なわれた場合には裁判制度の違いから原告団がいかに不利になるかという問題点を、直ちに米国原告弁護団に提出した(本誌2016年10月14日号参照)。

だが、日米間の「親善関係」などの政治基盤に亀裂が入ることを憂慮した高裁の裁判官たちは、米国政府にこの難問への「見解」を求めた。これまで米国政府は、中立の立場をとることで、事実上、日本側の主張を「黙認」し続けてきたのであるが――。

そしてついに、米国政府は昨年12月19日、「見解」を発表。そこには、以下の重大な4項目の所見が表明されていたのである。

(1)サンディエゴ地裁が米国での裁判進行を認めたのは、東電が異議を申し立てるところの「自由裁量権」の濫用ではない。裁判が米国で行なわれるとしても、高裁が危惧する日米の「親善関係」に亀裂が生じるものではない。

(2)日本政府および東電が主張する「日本でも正当な裁判が受けられる」という点についても、地裁の判決が「自由裁量権」の濫用とは認められない。

(3)「適用される法律選択」による便益分析のない初期の段階で、政治原理を取り上げ主張するのは避けるべきである。

(4)「適用される法律選択」の分析がない現段階で、「ファイアーファイターズ(消防士の損害に火元は賠償しないとする)・ルール」の適用を持ち出すべきではない。

こうした理由を以て、米国政府は全面的に地裁の判決を支持する見解を発表。これによって、高裁は日本政府はじめ東電の不服申し立てを却下すべしという結論に達すると考えられる。高裁の判決は未だ下されていないが、日本政府や東電などが回避を切望していた「米国での裁判続行」に追い込まれることは間違いない。

【フクシマの「真相」解明へ】

米国で裁判が開廷した暁には、訴訟手続きの「ディスカバリー」(証拠及び情報開示制度)によって、未だ明らかにされていない事実が見えてくるだろう。これまで、「真相」を公表せずに逃げ切れると考えていた東電や日本政府は、ついに米国で幾多の情報開示を迫られることになる。

いかなる国民も、自分の国において起きた「未曽有」の大惨事について、その原因を知る権利があるはずだ。だが、フクシマをはじめ日本の人々は事故当時からの詳しい経緯などを未だに知らされていない。当初わずかに伝えられた事実も、今や人々の記憶から霞のように消えてしまっている。

皮肉にも、米国兵士の被曝によって、フクシマ事故から6年にして、当時の「真相」がようやく明らかになろうとしている。同時に、万が一、兵士たちの様々な病状が「トモダチ作戦」の参加によってもたらされた結果と認められた場合、今なお低線量被曝による健康被害を認めない日本政府の立場も大きく崩れていくだろう。

米国政府の「見解」によって、今後の裁判の展開は非常に意義深く、フクシマに心を寄せる世界の人々が注視するところとなろう。

フクシマの事故後6年を前に、日本の人々にも大いに関心を持ってもらいたいところである。

近々、出される予定の高裁における「裁判管轄権」をめぐる判決については、いずれ報告したい。

(エィミー・ツジモト・米国在住ジャーナリスト、1月20日号)

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