週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース

教科書採択不正疑惑続々の大阪、東大阪市教委で――委員長が採択前に育鵬社接触

4月13日、東大阪市役所前での抗議行動。横断幕には「市教委は育鵬社との癒着疑惑を厳正に調査せよ!」とある。(提供/東大阪で教育を考える会)

4月13日、東大阪市役所前での抗議行動。横断幕には「市教委は育鵬社との癒着疑惑を厳正に調査せよ!」とある。(提供/東大阪で教育を考える会)

本誌2月26日号で大阪市での教科書アンケート疑惑を報じたフジ住宅内部資料から、右よりの教科書会社育鵬社とフジ住宅が東大阪市で採択の働きかけをしていたことを示す資料が見つかり、同市でも不正採択疑惑が浮上している。

採択会議前の昨年6月19日、フジ住宅の営業課社員の業務連絡書に、「(会長より)市長と教育委員長は育鵬社推進派と聞いて良かったです」とあった。また採択後の7月29日、育鵬社社員は今井光郎フジ住宅会長に「教育委員長の乾先生は、当社に非常に理解ある方です。実は、左翼から批判されていることは覚悟の上で採択していただきました」とメールを送っていた。この二つの資料は、育鵬社とフジ住宅が採択前に野田義和東大阪市長や乾公昨教育委員長の意向をつかんでいたことを物語っている。

4月6日、「東大阪で教育を考える会」(胡桃澤伸代表)は、東大阪市教委にこの新たな不正疑惑を正す質問状を提出した。何と教育次長は、乾氏が採択前に育鵬社社員と「市内の喫茶店で2回会った」ことを認めたのであった。乾氏は、「接待や金銭授受はない。他社とも会い問題はない」と開き直った。しかし、採択に大きな影響力を持つ教育委員長が採択前に育鵬社と接触したこと自体、公正さが疑われかねない。これらはフジ住宅内部資料とも符合しており言い逃れはできない。東大阪で教育を考える会は、乾氏の責任を追及し、辞任を求める声を強めている。

そもそも、東大阪市での育鵬社採択には日本会議が暗躍していた。選定委員会による3社推薦に育鵬社は入っていなかった。それに不満を持った「保護者等代表」のH委員は、他の保護者委員をつれて退席するパフォーマンスを行なったのである。そして教育委員会が、選定委員会での推薦から外れた育鵬社を、「現行の教科書が良い」という保護者意見を根拠に採択したのであった。

H委員は枚岡神社(東大阪市出雲井町)の氏子で、枚岡神社は日本会議の中でも500人の支部員を抱える日本最大の中河内支部の事務局でもあった。初めて育鵬社を採択した2011年に野田市長は、日本教育再生機構大阪の総会で講演した際、「選定委員会という組織がかなり偏った考えの者で構成されているので、そこから改めなければならない」と発言している。野田市長は、日本会議地方議員連盟設立代表発起人を務めたことがある。現在は、教育再生首長会議の幹事であり、H委員は野田市長の意向で選定委員に入った可能性が高い。

【和泉市では市長に接触】

和泉市では教育再生首長会議に参加する辻宏康市長にフジ住宅社員が接触し、その情報が育鵬社に伝えられていた。

フジ住宅内部資料によれば、採択前の昨年6月6日、辻市長と親しい社員が市長宅を訪れ育鵬社採択を要請していた。その中で市長は「自分もそうしたいと思っている」「市長の意向は、各教育委員には伝えている」と発言する一方、育鵬社への批判的な教育委員もおり「辻市長の意向通り、育鵬社の教科書が採択されるかどうかはわからない」とも答えていた。すぐにこの報告が今井会長より育鵬社教科書事業部に伝えられ、育鵬社担当者は、「最後の最後まで気が抜けないと改めて思いました。このような情報を聞かなかったフリをして、何か手を打たせていただくかもしれません」と返信していた。

和泉市は育鵬社を採択しなかったが、育鵬社がフジ住宅情報をもとに、市長や教育委員と不正な接触をしていたことを窺わせる内容である。

文部科学省は教科書閲覧問題を取り上げているが、そもそも育鵬社は採択に直接権限を持つ教育委員長や教育長にダイレクトに営業をかけていたのである。大阪市、東大阪市、和泉市で明らかとなったフジ住宅を介した育鵬社の採択関与は、もう一つの教科書疑獄として徹底して真相を究明し、責任を追及していきたい。

(伊賀正浩・子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会、4月29日)