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最高裁でセブン-イレブンの「違法」確定――見切り販売の妨害で敗訴

2014年11月5日11:49AM

昨年8月の高裁勝利の際、司法記者クラブで会見する原告団。(撮影/渡辺仁)

昨年8月の高裁勝利の際、司法記者クラブで会見する原告団。(撮影/渡辺仁)

最高裁判所第三小法廷(大橋正春裁判長)は10月14日、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパン(=セブン本部、東京都千代田区、井阪隆一社長)の見切り販売妨害事件でセブン本部と加盟店オーナー4人の上告を棄却し、東京高等裁判所が下した違法判決が確定した。

セブン本部は、独立事業者の加盟店主に対して消費期限直前の弁当・惣菜・牛乳類の値下げ販売を自社の利益のため妨害していた。このことは公正取引委員会が2009年、独占禁止法の優越的地位の濫用にあたるとして排除措置命令を出し、セブン側もこれを認めて謝罪していた。

これを受けて加盟店オーナーの須田康市、花田昌幸、平田敬人、藤島英世の4氏が総額1億4000万円の損害賠償を求めて集団提訴。東京高裁は昨年8月、セブン本部の違法性を認定し、原告4人への総額1140万円の賠償金の支払いを命じていた。

今回の最高裁判決について原告代表の須田氏は、「私の場合、3600万円の損害請求に対して280万円しか認められなかった。セブン本部は行政処分が出たあとも私たちに謝罪らしい謝罪もせず、現場の社員に責任を押しつけていた。こういう判決なら、『独禁法で負けても賠償金はこれだけか』となり、セブンへの抑止力にならないのではないか」と語り、独禁法が骨抜きになる危険性を指摘した。

セブン本部による「見切り販売妨害事件」は東京、大阪、福岡などで計20件ほどが係争中だ。このうち福島県の元加盟店オーナー、鈴木一秀氏の裁判は地裁、高裁で敗訴し、最高裁でも先月25日、上告棄却となったばかり。同じ業態で、同じような商品を、同じように値下げ(見切り)販売しているのに、なぜ司法の場で勝ち負けが分かれるのか。全国の加盟店オーナーから現場無視の矛盾した判決内容に批判の声が上がっている。

(渡辺仁・経済ジャーナリスト、10月24日号)

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