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カレー事件の林眞須美さん――前例なき国賠を提訴

2014年1月8日5:52PM

 一九九八年に四人が死亡した和歌山カレー事件で無実を訴えながら死刑判決が確定し、再審請求中の林眞須美さん(五二歳)と弁護団が一二月一三日、大阪拘置所に接見を違法に制限されたとして、計一〇〇〇万円の国家賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

接見でのパソコンの必要性を説明する安田弁護士(中)ら弁護団。(撮影/片岡健)

接見でのパソコンの必要性を説明する安田弁護士(中)ら弁護団。(撮影/片岡健)

 訴状などによると、林さんの死刑確定後、弁護人との接見の際に拘置所職員が立ち会うようになり、弁護人のパソコンの使用が認められなくなった。弁護団は死刑確定前と同様に、職員の立ち会わない接見や接見中のパソコンの使用許可を再三要請したが、拘置所は法的根拠を示さずに拒み続け、弁護活動に支障が出ていたという。

 一四日に大阪弁護士会館で会見した弁護団の安田好弘弁護士は「二〇〇〇点もある証拠を接見に持参するのは無理で、PDF化した証拠を閲覧するパソコンが不可欠。その使用を認めないのは、弁護妨害にほかならない。接見に職員が立ち会うため、真犯人に関する話もできず、充分な議論をするには接見時間も短すぎる」と主張。中道武美弁護士によると、林さんも職員不在の接見を望んでおり、訴訟に「やる気満々」という。

 林さんは今年、外部との手紙のやりとりに関する大阪拘置所の制限や対応をめぐり、独自に起こした二件の国家賠償請求訴訟で勝訴。名古屋拘置所の収容者と手紙のやりとりをしていたことを同拘置所職員に漏らされ、慰謝料を求めた本人訴訟でも勝訴した。勝訴が困難な国家賠償請求訴訟で一年に三回も勝訴するのは異例だが、死刑囚に対する拘置所の違法行為がそれだけ横行していたわけだ。

 死刑囚と再審弁護人の接見については、最高裁が一〇日、職員の立ち会わない接見を原則認めるべきという初判断を示したが、安田弁護士によると、パソコンの使用可否を問う訴訟は前例がないという。死刑囚の再審全般に関わる訴訟といえ、司法判断が注目される。

(片岡健・ルポライター、12月20日号)

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