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【米国】有名無実化する「撤退」発表――アフガンで米軍基地拡張進む

2012年3月14日7:35PM

 オバマ大統領は昨年六月、アフガニスタンに増派した兵力三万三〇〇〇人を今年の夏までに撤退させ、残る六万数千人の部隊も、二〇一四年夏までに本国に帰還させると発表した。

 今秋の大統領選を意識し、「アフガンでの戦争終結」を印象づけようとしたものと見られるが、アフガンでは米軍基地が以下のように現在建設中、あるいは新基地が完成している。(1)バグラム空軍基地に、空爆作戦などにあたる軍用機専門の巨大作戦支援センターを併設、(2)同基地内に二〇〇〇人収容の刑務所を併設、(3)カンダハル空軍基地内に一八〇人が駐留できる無人機専門の作戦基地を併設、(4)同基地内に、あらゆる車輌を修理できる一一の軍用工場が完成、(5)今年五月までに、国内九〇カ所に特殊部隊専用の基地を完成予定、(6)イラン国境に近いヘラート空軍基地内に、特殊部隊を支援する空軍専用の滑走路拡張工事が進行中――。

 これ以外にも中・小規模の基地の拡充などが予算化されているが、主力はバグラムやカンダハルのような超巨大基地の機能強化だ。そこでは、今後米軍が作戦の主体にしようとしている無人機と特殊部隊に関連する工事が目立つ。タリバン勢力の完全制圧は主要軍事目標から外して無人機と特殊部隊を中軸に国内戦闘に対処させる一方、超巨大基地を恒久的に確保し、アフガンをロシアやイランを射程に入れた戦略的前進基地にしようとする意図が窺える。

 このようにオバマ大統領の「アフガニスタン撤退」発言は、有名無実化している。事実、アフガニスタンのジョン・アレン現地司令官は、パキスタン国境の戦略的要所をめぐるタリバンとの戦闘が今後も続く見込みであることから、「撤兵は困難」との見方を示している(「アルジャジーラ」電子版二月二日付)。また同司令官は昨年七月の上院軍事委員会の証言で、「(一四年の)撤退は選択肢にはない」と明言していた。

 パネッタ国防長官も二月一日、「一三年度に米軍は主要な戦闘任務から離れる」と述べたが、それに伴って撤退する兵員数など具体的な内容は不明で、「戦争終結」にも一切触れていない。少なくとも今後のアフガニスタン戦争をめぐる情勢は、楽観論は禁物だろう。

(成澤宗男・編集部、3月2日号)

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