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水俣病訴訟支援の医師団が調査――多数の潜在患者見つかる

2012年1月13日5:28PM

 水俣病特別措置法によって「幕引き」されようとしている水俣病問題だが、一二月五日、水俣病訴訟支援・公害をなくする県民会議医師団(藤野糺団長)が、熊本県芦北郡の山間部に住む住民の集団検診結果を発表した。特措法は二〇〇九年、自公民の賛成多数により国会で成立していた。

 医師団がこの地域で検診したのは、四二世帯七六人(高校生を除く四二~八八歳)のうち三九人。このうち、二人を除く三七人(九五%)を、水俣病特有の症状があると診断した。

 医師団が集団検診に踏み切ったのは、今年七月頃よりこの地域の複数の住民が、特措法に申請するため来院していたからだ。

 この地は標高五一四メートルの位置にあり、水俣病多発時期には道路が整備されていなかった。そのため、行商はてんびん棒などでかついで魚を売りにきており、住民の多くはそこで買った魚を食べていた。

 水俣病の症状があると診断された住民の一人、橋本明さん(六一歳)は、四〇代後半から手足のしびれを感じはじめ、夜中に目が覚めるようになった。鉄筋工として長年働いてきたが、重い鉄筋をかついでいる最中に足がつったりするようになったため、危険を感じ昨年末に退職。当時は「年だなあ、と思っていた」が、知人の薦めで検診を受けることにした。橋本さんも他の住民と同様、幼い頃から毎日のように魚を食していた。 

 この地区は、特措法が規定している救済地域「対象外」。また、特措法は一一年末までの申請状況をみて、受付期限を決定すると定めている。

 医師団団長の藤野氏は検診結果について「山間部の流通ルートによる初めての集団検診だが、診察したほとんどの住民に水俣病の症状が出現していることに驚いた」とし、「この実態から、他の山間部や町なかにも多数の潜在患者がいることが予想される。被害の実態調査をしないままで、特措法の受付を締めきることは絶対にあってはならない」と、今後も集団検診を続ける意向を示している。

(野中大樹・編集部、12月16日号)

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