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「Colabo」vs.「暇空茜」訴訟、仁藤夢乃氏への本人尋問 
ブログ投稿の指摘に逐一反論

平畑玄洋・編集部|2024年2月9日8:25PM

 一般社団法人Colaboと代表の仁藤夢乃氏が、暇空茜こと水原清晃氏に計1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟(本誌昨年10月27日号既報)の口頭弁論が1月23日、東京地裁であり、原告の仁藤氏への本人尋問が行なわれた。仁藤氏は、ネット上の水原氏の記述が事実ではないと否定したうえで「(虚偽の投稿による影響で)Colaboに助けを求めようと思う少女や女性たちとつながりづらくなっている」と窮状を訴えた。

口頭弁論を終えて記者会見する仁藤夢乃氏(右)と弁護士の神原元氏。(撮影/平畑玄洋)

 水原氏は出頭しなかった。その理由について水原氏は事前に「危害を受けることを避けるため」などとする書面を裁判所に提出。尾行などにより住所が特定される恐れがあるなどと主張した。4月の次回期日も「出頭しません」と、本誌編集部の質問にX(旧ツイッター)上で回答(※)。「嫌がらせ」を行なう団体の存在などを挙げた。

 水原氏は2022年9月9日、ブログサイト「note」で「Colaboと仁藤夢乃さんの生活保護ビジネスについて調べてみました」と題する記事を投稿。「10代の女の子をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、毎月一人65000円ずつ徴収している」などと書いた。本人尋問でこれについて問われた仁藤氏は「(そのような事実は)ありません」と述べ、生活保護受給者は一時的な利用も含め1割程度にとどまると答えた。

 Colaboによると水原氏がブログで主張の根拠とした写真には、普段は一時シェルターとして利用している部屋が写っていた。日常的なシェアハウス(中長期シェルター)で1部屋に3人を押し込めた事実はなく、写真は年越し合宿で少女3人が「お泊り会」をしている様子だったという。

 生活保護から家賃収入を得て儲けたことはあるかとの質問に対しては、生活支援や公的機関・病院への同行、職場とのやりとり、緊急時の対応などを例に挙げ「人件費などの経費を考えれば利益になる事業ではない」と答えた。生活保護受給者がシェアハウスを利用する際は月5万3700円の家賃を取っているが、別途利用料の名目でお金を受け取ることはなく、光熱費やネット代、家具家電はColaboが負担しているという。

 生活保護受給者がアルバイトで収入を得た場合の対応については原告と被告双方の弁護士から質問があった。仁藤氏は「(自立に向けた就労支援の後)就労が決まれば役所に連絡する」「収入は申告するよう指導している」「お金の管理は本人がする」などと回答。生活保護不正受給などとする水原氏の投稿内容を否定した。

活動にも深刻な影響が

 尋問では、こうした誹謗中傷によるColaboへの悪影響についても時間が割かれた。妊娠した少女と長い時間をかけて信頼関係を築いて病院に行く了解を得たものの、Colaboに関するデマを信じた友人から「怖いところだから行っちゃだめ」と引き留められた結果、中絶の選択肢を失ったという例が紹介された。仁藤氏は「1日でも早く出会えるかどうかでその子の人生が変わってしまう」と深刻な影響が出ていることを明かした。

 ColaboのシェルターについてSNS上で「いいところだった」という趣旨の投稿をした少女が、被告のデマを信じた人たちによって友人関係や学校をさらされた例も報告された。シェルターの位置を特定する情報が流れ、閉鎖に追い込まれることもあったそうだ。

 口頭弁論は、かつてシェルターを利用した20代の女性も傍聴していた。その女性は裁判の後、「(シェルターは)タコ部屋じゃない。(大人たちに)不信感を抱いていた女の子たちがColaboに来て『信じてもいいのかな』と思ったのにデマのせいで病んだり、実家みたいな場所を失ったりしている」と語った。

 また、被告側の弁護士が、声かけなどのアウトリーチ活動に少女たちが「参加させられていた」と繰り返し述べたことにも違和感を覚えたという。「活動を楽しんでいたし、路上に立っている女の子とつながりたいと本気で思ってやっている。『Colaboから参加させられている』という言い方は違う」と憤った。

※本誌編集部からの質問に回答した水原氏の投稿は以下。
https://twitter.com/himasoraakane/status/1750356548537479506

(『週刊金曜日』2024年2月2日号)

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