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元「慰安婦」ら逆転勝訴 
韓国高裁、日本の主権免除は認められないと判断

朱玹佑・東国大学大学院生/文聖姫・編集部|2023年12月8日3:03PM

 韓国のソウル高裁は11月23日、元日本軍「慰安婦」や遺族らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、日本政府の責任を認め、賠償金として一人当たり2億ウォン(約2300万円)の支払いを命じた。

 2021年の一審判決は、「国際慣習法と大法院(最高裁判所)の法理によると、他国である日本の主権的な行為に対する損害賠償請求は認めない」という「主権免除」の原則を認め、原告の請求を却下した。しかし、高裁は「法廷地国(注:事件を扱う法廷が所属する国)内で起きた法廷地国の国民に対する不法行為に対しては、その行為が主権的な行為か否かにかかわらず、主権免除を認めないことが現在の有効な国際慣習法というのが妥当」だとし、「このような国際慣習法によると、日本の行為は法廷地国内で法廷地国の国民である被害者たちに対する不法行為で、日本の主権免除は認められない」と判断した。

 さらに、「日本は戦争中、兵隊の士気を高めるため慰安所を設置・運営して当時10~20代に過ぎない被害者たちを欺き、誘引あるいは強制的に拉致して慰安婦として動員した」とし、「被害者たちは最低限の自由さえ抑圧されたまま、毎日数十人の日本軍兵士から望まない性行為を強要され、その結果無数の傷害や妊娠、死亡の危険まで経験して、終戦後も正常な社会生活に適応できない損害を受けた」と指摘した。

 訴訟は16年12月、元「慰安婦」の金福童、李容洙、李守山の各氏や遺族らが原告となって起こした。7年の時を経て、訴訟を提起した元「慰安婦」生存者7人のうち4人が亡くなった。

 今回の判決は二つ目の勝訴だ。21年、元「慰安婦」の裵春姫さんの遺族や被害者ら12人が日本政府に損害賠償請求訴訟を起こし、勝訴した(「1・8判決」)。日本政府が「無対応」の原則で控訴しなかったため、一審で判決が確定した。今回の判決に対しても日本政府が対応しなければ、確定する。

正義連「速やかに賠償を」

 高裁で判決が言い渡された日、生存者の一人、李容洙さんは、車椅子に乗って退廷。「みなさま、ありがとうございます」と叫んだ。李さんは記者会見で、「(日本は)被害者が一人でも生きている間に謝罪し、法的補償をするべきだ」と述べた(動画より)。

「慰安婦」問題で日本政府の責任を求めてきた市民団体は一斉に歓迎の声明を発表した。

 正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、旧挺対協)公式サイトによると、正義連は11月23日に記者会見し、「判決は、(被害者たちの)最後の訴えに対する韓国法院(裁判所)の正当な応答だ」とし、「日本政府はこの判決を受け入れ、被害者らに速やかに賠償するべきだ」と表明した。民主社会のための弁護士会の公式サイトによると、同会「日本『慰安婦』問題対応タスクフォース」も同日発表した声明で、「(日本政府は)原告らに心から謝罪し、判決に従って賠償すべきだ」と判決を歓迎した。

 11月23日のNHKや同24日付『朝日新聞』の報道によると、上川陽子外相は「国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するもので極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」との談話を発表した。岡野正敬・外務事務次官は尹徳敏・駐日韓国大使を呼び出し、抗議した。

【山本晴太弁護士のコメント】

 日本の主権免除を否定した2021年の「1・8判決」を日本政府は「国際法上ありえない判断」と非難した。しかしその後、ドイツの主権免除を否定したブラジル連邦最高裁判決は「1・8判決」を引用し、ウクライナ最高裁判決は主権を侵害する国の主権を尊重し遵守する義務はないと喝破した。今回の判決はそれらの事実を淡々と積み上げて堅実な論理で日本国の主権免除を否定した。各国の裁判所が響きあってつくられた人権中心の国際法の新しい流れはもはや揺るぎないものになった。

(『週刊金曜日』2023年12月8日号)

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