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北九州市立若松図書館で貸出数の“水増し”が発覚 その動機は?

長岡義幸・フリーランス記者|2023年7月17日7:00AM

貸出数水増しの実態を報告した北九州市教育委員会提出の文書。(撮影/長岡義幸)

 北九州市教育委員会は6月26日、市議会に市立若松図書館の図書類の貸出数を水増ししていたと報告し、同館の指定管理者が不正行為を働いていたと明かした。なぜ水増しに至ったのか、指定管理者制度に何らかの問題があるのかなど背景を関係者に聞いた。

 水増しの経緯は、市教委が市議会教育文化委員会に提出した文書「北九州市立若松図書館の指定管理者による不正行為に対する対応について」(6月26日付)で説明した。この文書や市教委の担当によると、公益通報が寄せられ、若松図書館の不自然な数字を確認。同館などの指定管理者である株式会社日本施設協会(北九州市)の社長らに事情聴取したところ、昨年11月末から今年3月まで貸出数を水増ししたことを認めたという。〈複数の社員等の図書館カードの情報を使用して、貸出処理した図書を本人に渡さないまま返却処理し、貸出実績として計上〉というやり口だった。

 同期間の若松図書館の貸出数は約20万冊で、うち水増しした貸出数は2万216冊、貸出者数は実人数39人、延べ2060人に及んだ。コロナ禍で他館の貸出数が減少する一方、若松のみ他館よりも20~30%増加していたという。

 市教委や日本施設協会の池上秀一社長の説明では、2022年度まで同社が指定管理者だった門司図書館が23年度以降の管理者に選ばれず、来年度に契約更改のある若松図書館も選定から漏れてしまうのではないかと危機感を覚え、実績を上げようと数字を操作したのだという。

 市教委に、管理者の選定で貸出数に重きを置いているのか尋ねたところ「いろいろな評価項目があり、こういうかたちで評価するときちんと公表している。それを見て日本施設協会が(貸出数が大きく影響すると)そう判断してしまったが、私たちはオープンに選定を行なっている」と説明した。

 池上社長は「選定で貸出数の評価が高いのではないかと思ってしまった。指定管理者からはずれた門司図書館では、夏場にクーラーが壊れ、やってくる人が減り、貸出数が落ちた。そのことも継続できなかった原因のひとつではないかと思ってしまった」と語る。

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