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労協法施行で労働・資本・経営が一体化した新たな協同組合“ワーカーズ”が各地で次々誕生

長岡義幸・フリーランス記者|2023年7月11日7:00AM


6月24日に開かれた日本労働者協同組合連合会の創立総会でのレセプション。(撮影/長岡義幸)

 四半世紀以上にわたる法制化運動の末、労働者協同組合法(労協法)が2020年12月、全党・全会派が賛同した超党派による議員立法として、全会一致で成立し、昨年10月に施行された。

 先頭で法制化を訴えてきた日本労働者協同組合連合会(労協連、東京・豊島区)は6月24日、任意団体の労協連を解散し、会員組織の指導・連絡・調整を担う労協法上の連合会に衣替えするための第1回総会を東京都内で開いた。総会時の会員15、労協法人への移行を目指す準会員20の体制で新生労協連の活動がはじまった。

 労働者協同組合とは、労働と資本と経営を分離して運営する株式会社とは異なり、労働と資本と経営を一体化した働く者のための協同組合である(法律上は「組合員が出資し、意見を反映し、事業に従事する」ことを基本原理と規定)。換言すると、労働者全員が出資者で経営者という事業体だ。一般には、ワーカーズ・コープ、ワーカーズ・コレクティブ、協同労働の協同組合とも呼ばれる。

 法律の施行以前は任意団体として運営するか、制度的に多少似通っている企業組合やNPO法人、または合同会社などの法人格を利用して設立するしかなかったのが、ストレートに労協としての法人格を得られるようになった。労協法の施行から約9カ月が経った6月末現在、労協法人は53団体に達したところだ。

 新生労協連の総会では、代議員が労協法への期待や新規加盟に至る経緯などについて発言した。

 ワーカーズコープ・センター事業団(東京都豊島区)は、組合員約7000人、北海道から沖縄まで事業所約400カ所、事業高245億円ほどと、日本最大のワーカーズとなる。総会開催の1週間前に、労協法人に移行した。ミカンなどを栽培する農事組合法人と販売組織の株式会社を併存させて労協的な運営をし、地域協同組合として旧労協連に参加していた無茶々園(愛媛県西予市)は、地域に必要な事業の開発や雇用確保を目的にした労協「無茶々園の森」を新たに設立したと報告した。

 ワーカーズコープちば(船橋市)は、不用品の片付けや訪問介護、放課後デイ、就労支援、制服をリユースする制服バンク、子ども食堂などさまざまな事業や社会活動を展開する。繁華街をさまよう少女のためにバンを走らせ、生理用品などを配布する「若年女性支援」の社会事業もはじめたと報告した。映像の制作・配信やデザインほかの事業を営む創造集団440Hz(東京都新宿区)は「組合員4人全員が不登校・引きこもり経験者」と触れ、大人のためのフリースクール「雫穿大学」で出会ったとも補足していた。

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