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差別発言が何度続けば差別撤廃の法制化は実現するのか 性的マイノリティの子を持つ親たちの声

小川たまか・ライター|2023年3月20日7:00AM

性的マイノリティの子を持つ親たちが2月26日に開いたオンライン記者会見。(Zoom画面より)

 2年前に法案整備が見送られた「LGBT理解増進法案」の検討が進む中、荒井勝喜元首相秘書官の性的マイノリティへの差別発言と、これに対する世論の反発をきっかけに、「理解増進」ではなく「差別撤廃」を求める当事者らのアクションが続いている。

 2月26日には性的マイノリティの子を持つ親による「子どもたちの命を守る法整備を」と求める記者会見がオンライン上で開かれ、それぞれの経験から、今ある差別に対峙することを余儀なくされている当事者や親の思いが語られた。

「岸田総理様、恐れながら申し上げます」と話し始めたのは、三重県の浦狩知子さん。8年前、現在20代の子から「こんな自分でごめんなさい」と泣きながらカミングアウトされたという。自身も当時、GID(性同一性障害)の認定医師に「私の何があきませんでしたか」と泣きながら質問したところ、「10年間で1万7000人の当事者を診ました。GIDは世界中に一定数の割合で存在し、江戸時代から当事者の存在の文献が残っている。先祖の霊がこの子をこうしたわけではない。高いツボは買わないで」と教えてもらったと振り返ったうえで「親は、大人は、この子たちを『正直で勇気ある子だ』と褒めてあげてほしいです。理解増進ではなく差別禁止法をお願いいたします」と結んだ。

 30代の子を持つ神奈川県の三輪さんは、子どものカミングアウトから10年以上当事者を支えてきた中で「理解増進だけでは人々の意識はあまり変わらない」と思ったと発言。「確かに感受性の柔らかい30代以下の人たちに理解の輪は広がっているでしょう。けれどもこの社会を仕切っている世代は昔の意識のままです。政府側の答弁を聞くたびに、差別と偏見の中で生きている当事者親子の苦しみがまったく理解されていないと悲しくなります」と話した。

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