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ジェンダーに配慮した議会か 国会議員の問題意識に男女差

宮本有紀・編集部|2023年2月26日7:00AM

 IPU(列国議会同盟)では「ジェンダーに配慮した議会のための行動計画」を2012年に採択し、各国議会が自己点検することを推奨している。

 日本では全衆議院議員を対象に「議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケート調査」を22年に実施。この結果をもとに、「ジェンダーに配慮した国会」を考えるオンライン勉強会が2月9日、「クオータ制を推進する会」の主催で行なわれ、同会顧問の三浦まり上智大学教授と「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」会長の中川正春議員が登壇した。

 三浦氏は「ジェンダーに配慮した議会かどうかは、女性議員割合だけではなく、議長や副議長に女性がいるかや委員会の女性割合なども見ていく。また、議会の開催時間が深夜にまで及び育児中の議員に負担がないかや男性議員の育休も案件。国会では女性トイレが各フロアに一つずつしかなく遠いところにあるから大変という声もきいた。服務規程も男性前提で決められたルール。男性にとって当たり前のことでも女性には障壁になることを洗い出して変えていこうということ」と説明した。

1月25日の海江田万里事務所のツイートに添付されていた写真。現在、議院運営委員会は25人の委員全員が男性。

 ちょうど海江田万里衆議院副議長の事務所が「議院運営委員会の委員全員が男性というのも異様な光景です」などのコメントとともに男性がずらりと並んだ写真(上)をツイートし話題になったばかりだったこともあり、三浦氏も言及。

「女性議員が1割いない衆議院では、昨年5月6日時点で女性ゼロ委員会は環境、懲罰、政治倫理の三つだった。女性が1人の委員会も安全保障など複数ある。女性が1人やゼロの会議で国の重要政策が決まっていることを非常に恐ろしく感じている」と述べた。

 アンケート調査では、問題意識の男女差も明らかになった。「現在の国会における女性議員の数は十分と考えますか」の質問に「不十分」と答えたのは女性84・6%で男性は56・7%。「どちらかといえば不十分」は女性が7・7%で男性は24・6%、「どちらともいえない」は女性が7・7%、男性は16・0%。「どちらかといえば十分」は女性ゼロ、男性1・5%だった。

 また、「国会への女性の参画拡大は妨げられていると思いますか」に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」は女性71・8%、男性45・4%。理由として「育児・家事が女性に偏っている」「地元活動を含む政治活動の負担が重い」などが挙げられている。三浦氏は「男女でこれだけの認識の違いがある。議員内でデータを共有し、参画の障壁は女性のほうが高いことを認識することが、クオータを理解する第一歩」と解説した。

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