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平和を求め軍拡を許さない女たちの会

2023年2月10日7:00AM

 年末から正月にかけ、『学術の動向』という雑誌の依頼で、「日本学術会議を知る」「学術と社会」という2本の論文を書いていた。それを書きながら、敵基地攻撃能力保有、軍事費の倍増、自衛隊と米軍の連携、原発、任命拒否、内閣府による日本学術会議改革への介入、これらは「全て関連している」と実感した。

 かつて1931年に満州事変が起こると、文部省は学生思想問題調査委員会を発足させ、33年には文部大臣が滝川幸辰の京都大学辞職を要求。35年に美濃部達吉を不敬罪で告発し、37年に矢内原忠雄を東京大学から追い出す。38年に大内兵衛らの教授グループを検挙し、40年には津田左右吉の著作を発禁処分とし、出版物に承認制度を敷いた。同じような経過を辿っている。もう戦前ですらない。戦時体制に入った。

 「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」を新年早々数人で結成し、1月11日にはLINEを立ち上げた。その段階で2月8日の13時30分から衆議院第二議員会館で記者会見をすることを決めた。その後、少人数で始まったこの動きはたちまち賛同者を集め、「#軍拡より生活!」という呼びかけでChange.orgに署名の場所を移している。

 同じころ「共同テーブル」が「新しい戦前にさせない」を、2月9日18時30分から文京区民センターで開催することを決めた。この「新しい戦前」という言葉は、年末にタモリが「徹子の部屋」で発言したことで広まったという。「共同テーブル」のチラシには脇に「戦争が廊下の奥に立つてゐた」という渡辺白泉の句を配置している。

 私は『東京新聞(中日新聞)』の月連載で、1月15日に「反戦準備」という文章を掲載した。ジョン・レノンが作ってベトナム戦争の反戦歌となった“Give Peace A Chance”で始め、「反戦の準備をしよう。……歌で、短い言葉で、行動で、そしてやがて、一揆の日がやってくる。何より心の準備が必要だ」と締めくくった。「一揆」とは、方法を共有することを意味する。集会を開き、シンポジウムで議論し、正確な情報を伝え、さまざまなルートを使ってものを言い続ける。それが集積していくことが事態を動かす。歌でも短歌でも俳句でも川柳でも叫びでも、一揆なのである。

 戦時体制は着々と進んでいる。「戦争を回避せよ」と言わねばならない、切迫した事態だ。

(『週刊金曜日』2023年2月3日号)

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