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「万博推進のために保健所職員を減らさないで」

平野次郎・フリーライター|2023年2月9日7:00AM

保健所業務の逼迫を伝えるメッセージ。(大阪府職労の公式Twitterアカウントより)

 新型コロナウイルスによる死者数が全国最多(今年1月現在)の大阪府で、2025年に開催予定の大阪・関西万博の準備に必要な人員を確保するため、府が各部局の職員削減目標を検討している。これに対し、大阪府職員労働組合(以下、府職労)が1月12日に「万博推進のために保健所職員を減らさないでください」として、吉村洋文知事らに文書で申し入れた。

 府は昨年11月、府政運営として「令和5年度人員体制の編成について」の通知を各部局長に出した。通知は「万博に向けた取組みなど特定の重要課題」に適切に対応するとして、職員数について「行政職については、特定の重要課題に重点的に人員を配置する必要性から削減目標を設定する」とし、40人の削減目標を掲げた。

 この間、第8波の新型コロナウイルス感染拡大で死者数は過去最速のペースで増加し、1月8日には国内累計で6万人を超えた。大阪府の死者数は7360人となり、保健所の業務が逼迫した。

〈年末から感染者の対応件数が急増し、医療機関からの発生届があった対象者に電話をしきれずに翌日回しになったり、救急車に現場で何時間も待ってもらったりすることが常態化している〉(府職労に寄せられた現場からの声より)

 府職労の小松康則執行委員長によると、過労死ラインを超えて働かざるを得ない事態が放置され、心身の調子を崩して休職や退職に追いこまれる職員が少なくない。21、22年度に府内9保健所に保健師各3人、職員各1人が増員されたが対応が追いつかないという。

 知事らへの申入書は「万博の準備のために、保健所職員を減らすことは、職員だけでなく、府民の命や健康にかかわる」と訴える。

 筆者の取材に対し、府総務部人事課は「保健所職員などコロナの対応に従事する職員は削減目標とは切り離し、今後の感染状況や国の対応策を見ながら削減するかどうか検討していく」と話す。

(『週刊金曜日』2023年2月3日号)

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