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国会議員たちが裁判官をクビにする理由
佐藤和雄・編集部|2022年12月12日7:00AM
岡口基一裁判官に対する弾劾裁判第2回公判

SNSの投稿などで殺人事件の被害者遺族を傷つけたり、訴訟当事者の社会的評価を不当におとしめたりしたとして訴追された岡口基一・仙台高裁判事(56歳)=職務停止中=を辞めさせ、法曹資格を剥奪するかどうかを決める弾劾裁判の第2回公判が11月30日、参議院第二別館にある裁判官弾劾裁判所(裁判長は自民党の松山政司参院議員)であった。
これまで弾劾裁判では9人の裁判官が訴追され、うち犯罪行為をしたり、職務に絡んで利益を得たりした7人が罷免、すなわちクビとなり、法曹資格も剥奪された。裁判官による私的な表現行為をめぐっての弾劾裁判は今回が初めて。
第2回公判のメインイベントは検察官役を務める訴追委員会による冒頭陳述。委員長である自民党の新藤義孝衆院議員は冒頭陳述で「本件の重要なポイント」として(1)高裁や訴追委員会に「これ以上は投稿しない」と発言していたが、投稿や発言をくり返した。(2)岡口判事の行為が許されれば、真似をする裁判官が次々と出てくる「行為の波及」によって、公正な裁判への信頼を損なう懸念がある、といった点を強調した。
これに対し、弁護団は公判後に記者会見をし、野間啓弁護士は「他の裁判官が(SNSへの投稿を)どんどんやるというが、訴追された後にやめた人がいるのが実情だ」と指摘。また、伊藤真弁護士は「岡口さんの職務外の表現行為が(裁判官弾劾法にある)『裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった』かどうかが争点だ。波及効果で言えば、むしろ訴追によって裁判官に萎縮効果をもたらした。大きな問題だ」と批判した。
次回の公判は来年2月8日の予定。

(『週刊金曜日』2022年12月9日号)