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野党は二度負けた
〈編集委員コラム 風速計〉中島岳志

2022年6月17日7:00AM

 

 参議院選挙が近づいているが、盛り上がりに欠けている。その最大の要因は、野党共闘が後退し、衆議院と参議院の「ねじれ」を生み出す機運が高まっていないことにある。なぜそんなことになったのか。

 端的に言って、昨年、野党は二度負けたのである。一度目の敗北は昨年の衆議院選挙。直前の予測に反して、立憲民主党の獲得議席数が伸びず、惨敗を喫した。

 問題は、そのあとである。野党敗北の要因を「共産党との共闘」に還元し、穏健な保守層の票を逃したとの声が大きくなったことで、野党共闘の見直しが議論された。この声に、立憲民主党や国民民主党の議員が乗ってしまった。これが二度目の敗北だ。

 本誌でもすでに述べたことだが、衆議院選挙の野党敗北は、野党共闘が徹底できなかったことにある。実際、自民党で党改革実行本部幹事長を務める平将明氏は、選挙後のツイート(2021年11月29日)で、衆議院選挙は「獲得議席数ほど勝った印象はない」とし、「薄氷の勝利だった激戦区も多かった」と率直に述べている。あと少しの支持が積み重ねられていれば小選挙区で当選した野党議員は多く、また逆に、もう少し得票が少なければ、小選挙区で負けていたという与党議員も多かった。野党共闘には、確実に大きな効果があったのである。

 これに危機感を持ったのが自民党だ。彼らは野党共闘を崩すために、共産党への不安や懸念を過剰にあおり、立憲民主党と国民民主党の支持母体である連合(日本労働組合総連合会)の分断を進めた。結果、野党共闘は失敗だったとの誤った総括がなされ、国民民主党は自民党への接近を強めた。

 今後の展開を考えるならば、野党にとっては、選挙での敗北よりも選挙後の「野党共闘の意味づけ」をめぐる敗北のほうが、痛手が大きい。与党にとって脅威となった野党共闘が崩壊すれば、与党が選挙で敗北するというリスクは限りなく小さくなる。

 今からでも遅くない。各政党は、自党の候補者を立てていない選挙区では、理念を共有できる他の野党候補者を積極的に応援してほしい。他党関係者と選挙運動を共有する経験を積み重ねてほしい。

 衆議院選挙は、小選挙区比例代表並立制が施行されている。この制度は二大政党制に帰結せず、大政党と小政党の連立政治を導く。野党第一党は、共産党とタッグを組むしか政権奪取の方法はない。

(2022年6月17日号)

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