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武蔵野市が住民投票条例案を提出 外国人にも要件つけず投票権

2021年11月26日9:28PM

「外国籍市民も投票資格者に含めるか」についての市民アンケート結果。(武蔵野市発表資料より)

 東京都武蔵野市は11月12日、在留期間などの要件を設けずに18歳以上の市内に住む外国人にも投票権を認める住民投票条例案を19日から始まる市議会定例会に提出する、と発表した。可決されれば2022年度中に施行する。同市は今年3月、18歳以上の市民2000人を無作為に選び、アンケートを実施。「要件を設けずに外国籍市民を投票資格者に含める」という市の考え方について聞いたところ、回答者の73・2%が「外国人も市民に変わらない」などの理由を挙げ、賛成を表明した。

 同市によれば20年12月時点で常設型の住民投票制度を持つのは全国で78の自治体。このうち43自治体が外国人の投票権を認めている。ただ、日本人と同じ条件で投票権を認めているのは神奈川県逗子市と大阪府豊中市しかない。

 武蔵野市は、「自治体の憲法」と呼ばれる自治基本条例を制定し、20年4月に施行。条例は第19条で市政の重要問題などについて住民投票の実施を義務付けているが、条例の制定過程では、投票資格者を日本国籍に限るのか、外国籍も含めるのかについて結論が出ていなかった。

 同市は、自治基本条例で規定している「市民」の要件には、国籍の要素は入っていないことや、「多様性を認め合う支え合いのまちづくり」を市の目標として掲げていることなどから、日本人と同じく市内に3カ月以上住む外国人の投票権を認める方針を固め、今回の条例案提出に至った。

 松下玲子市長は、条例案を発表した12日の定例記者会見で「市民参加を進める手段の一つに住民投票制度を加えるのが目的で、外国籍の人を排除する合理的理由は見いだせない」などと説明した。

 一方、『産経新聞』は12日付朝刊で「『実質的な参政権』根強い反対も」との見出しの記事で批判しているが、市民の7割以上が賛意を示していることには触れていない。

(佐藤和雄・編集部、2021年11月19日号)

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