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府立植物園が再開発で「商業化」? 
地元住民が反対運動

土岐直彦|2021年7月16日4:51PM

京都市内で、整備計画の見直しを求まる横断幕を掲げる市民ら。(撮影/土岐直彦)

京都府立植物園(戸部博園長)がある京都市左京区の文教地区「北山エリア」を対象に、府がアミューズメント施設建設などの再開発を計画。これに対して「植物園本来の機能が損なわれ、面積縮小の危険性がある」として市民らが反対運動を展開中だ。

府が昨年12月に発表した「北山エリア整備基本計画」は、同地に劇場と一体のホテル、飲食店などの「賑わい・交流施設」を整備、エリア内にある府立大学の敷地にも収容1万人規模のアリーナも建設するとしている。

府立植物園については垣根を一部取り払ってカフェなどを設置するほか、人の出入口を増設。芝生広場にステージを設けてイベントのできる空間にするという。こうした商業化への色彩が鮮明な内容に対し、地域住民らが「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会」を今春結成。約5万人分の署名簿を5月に府へ提出した。

1924年開園の府立植物園は24ヘクタールの敷地に約1万2000種の植物が植えられている。古代の植生を残す森、大観覧温室などを備えており、地元では「府民の宝」とも呼ばれる。イベントに頼らない「ほんまもんの植物園」を旨としてきた歴代園長らも今回の計画には「賑わい施設のために樹木を伐ることは考えられません」「植物を主役に、その魅力を発信していくことが必要」などと警鐘を鳴らしている。

「見直しを求める会」共同代表の都築澄子さんは、一番許せないのは同園を「出入りが自由な公園と同様にしてしまうことだ」と話す。植物園とは本来、植物から自然を学びながら憩う場所。そのために100年近く守り育ててきた植物を「イベントや金儲けの目的で犠牲にすること」に加えて、府側による住民説明会が開かれていないことも批判する。「見直しを求める会」は7月2日には府庁前でのスタンディングも予定している。

(土岐直彦・ジャーナリスト、2021年7月2日号)

 

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