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安倍前首相支える山口県議に「疑惑の1000万円」 
選挙前に自分あて領収書多数

三宅勝久|2021年2月26日6:38PM

安倍前首相(左)との親密ぶりを誇示してきた友田有氏。(2018年12月発行の同氏「県政レポート」より)

自民党所属の山口県議会議員で安倍晋三前首相を熱心に支援する友田有氏(下関市選挙区、現在7期目)の政治団体をめぐり、2019年の1年間で1000万円に及ぶ使途不明金があることが、筆者による政治資金収支報告書などの調査で判明した。

自分が代表をする団体から自分自身に支出することで生じた使途不明金だ。政治と金の流れの透明化をめざす政治資金規正法を蔑ろにする行為であり、同法違反(不記載、虚偽記載)のおそれがある。また、不明金は同年4月の県議選後に集中しており、選挙の「裏金」に使われた公選法違反の可能性も否定できない。

友田県議が代表をする政治団体「友田たもつ後援会」「友田有政策研究会」「自由民主党五省支部」の19年分(1月~12月)政治資金収支報告書によれば、同年2月から4月にかけて計9回、1回あたりの額面で50万円から200万円の支出が、いずれも「(政治)活動費」として友田氏自身に対してなされている(以下はその内訳)。

▼「友田たもつ後援会」計500万円(2月25日=150万円、3月25日=150万円、4月25日=200万円)

▼「友田有政策研究会」計300万円(2月25日=100万円、3月25日=100万円、4月25日=100万円)

▼「自民党五省支部」計200万円(2月25日=50万円、3月25日=50万円、4月25日=100万円)

すべて合わせると1000万円だ。「活動費」が具体的に何を指すのかについて各収支報告書に説明はない。領収書の但書を見ても説明はない。明らかなのは政治団体の資金が友田氏個人の財布に入ったという事実のみだ。財布に入った後の1000万円の行き先は闇の中だ。

【県議選前後に不明金集中】

友田氏が自身の政治団体から自分に対して支払った「政治活動費」150万円の領収書。(提供/三宅勝久)

興味深いことに前記9件の支出には同じ日付のものがいくつもある。日付ごとに金額を整理すれば、

▼2月25日=300万円

▼3月25日=300万円

▼4月25日=400万円

となる。毎月300万~400万円を、まるで貯金を下ろすように団体から自分に払わせている。他の月や年に同様の支出は見当たらない。なぜそれほど金が必要だったのか。思い当たるのが選挙だ。この19年には任期満了に伴う県議会議員選挙があり、友田氏も立候補した。3月29日告示、4月7日投開票。使途不明金の発生はこの選挙時期と重なる。

選挙運動費用収支報告書によれば、友田氏が選挙準備を開始したのは2月。選挙運動の原資として、2月2日に自民党山口県支部連合会(岸信夫代表)から公認料50万円、同13日に自民党下関支部から公認料30万円を受け取っている。続いて自己資金280万円を、3月1日、28日、4月8日の3回にわけて収入に計上している。

疑惑の1000万円の使い道は、この選挙運動の収支の中にも出てこない。いったい何に使ったのか。事情を聞くべく友田県議に取材したが、回答はない。

友田議員は政務活動費(山口県の公費)で年間5回(19年度)も東京に出張して安倍氏に会っているほか、14年には安倍首相(当時)主催「桜をみる会」に出席した熱心な安倍支援者だ。19年の「友田たもつ通信」では「憲法の改正の問題、ロシアとの平和条約そして領土問題、アメリカとの貿易問題、消費税増税対策等々、政権与党としてのやるべき課題は山積しています。このすべてが日本の将来に大きな影響を与える事柄ばかりです。安倍総理以外にこの難局を乗り切れることができる人は今の政治家の中にいるでしょうか」と持ち上げている。

(三宅勝久・ジャーナリスト、2021年2月5日号)

 

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