日本学術会議問題、約600団体が菅政権に反対声明
片岡伸行|2020年11月10日6:33PM
【「問題のすり替えだ」】
冒頭の「安全保障関連法に反対する学者の会」の調べによると、今回の任命拒否に対して声明や要望を出している団体は10月20日時点で、学会や協会、大学・研究所、大学人、労働組合、諸団体など合わせて612団体に上り、日々増え続けている。さらに、任命拒否の撤回を求める「Change.org」のインターネット署名には14万人超が賛同した。
多方面からの「違法・違憲」との指摘を無視し、政府は自民党と連携し日本学術会議に年間約10億円の国費を投じていることが妥当かどうかなどを検証する作業に入ったが、これを「問題のすり替えだ」と非難する声も高まる。
約85万人の科学者の中から優れた業績で選ばれる210人の会員と約2000人の連携会員で構成される日本学術会議は、日本の知を内外に発信する独立機関である。予算約10億円の半分ほどは事務局経費として使われている。
政府と自民党はこの「約10億円」があたかも問題であるかのようにカムフラージュするが、「弔意表明」の政治介入が問題になった内閣・自民党による元首相の合同葬(10月17日開催)に約1億9000万円(うち国費約9600万円)をかけ、不評を買った「アベノマスク」には500億円超の国費が投じられた。「総合的、俯瞰的な観点」から見て、検証が必要なのはどちらか。
また、憲法15条に基づき主権者から「任命拒否」(罷免)されるべきは、学問の自由をカネで脅すような行為をする政権の側ではないのか。
(片岡伸行・記者、2020年10月23日号)