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安倍政権支えた「鉄の三角形」温存される 
野党合同新党の闘い始まる

木下ちがや|2020年9月16日2:27PM

【菅官房長官はいかにして復活したか】

ところが、今年半ばに至り、菅官房長官は復権することになる。7月半ば、新型コロナ感染者が激増しているにもかかわらず「GoToキャンペーン」は東京を除外して予定通り開始された。予定通りの開始を断固主張したのは菅氏であり、彼の復権は三角形を構成する二階幹事長の後押しによってである。8月に入ると二階氏は菅氏を「有力な首相候補の1人」と公言、ポスト安倍に向けた権力移行の下準備を画策していたのだ。

8月29日、菅官房長官は二階幹事長と会談し、総裁選に出馬する決意を明らかにした。するとただちに「麻生派幹部が菅を支持するよう麻生に進言」「竹下派にも菅支持の動き 石破周辺が石破に出馬見送りを進言」というニュースが報じられた。総裁有力候補だった岸田文雄政調会長は、あわてて頼みの麻生副首相に面会したものの、「(岸田を支持するかどうかは)首相の意向がはっきりしないから決められない」と袖にされた。首相の辞任表明からわずか2日で菅新総裁誕生はほぼ確定した。9月半ばに行なわれる予定の自民党総裁選は無投票あるいは無風になることが確実になった。これはつまり、安倍首相抜きの「鉄の三角形」が温存されるということである。かくして、安倍政権の支配はこれからも続くのである。

この安倍政権の支配システムは、自民党総裁選では崩れることはない。崩すことができるのは、解散総選挙で野党が勝利すること、それしかない。

折しも、9月半ばには野党合同新党が結成される。安倍首相の退陣と入れ替わるように、刷新された野党共闘が国民の前に姿をあらわすのだ。そして、菅官房長官が決して勝てなかったのが「オール沖縄」であることをここでは想起すべきであろう。新型コロナ禍のもとでの経済危機が目前に迫るなか、安倍政権の古いシステムを打倒し、新しいシステムを構築するための闘いの火ぶたが切られるのだ。

(木下ちがや・政治学者、2020年9月4日号)

 

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