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新型コロナが招く「経済の政治化」危機

佐々木実|2020年5月10日10:51AM

安倍政権の「コロナ経済対策」は「事業規模は108兆円でも、実際の財政支出は40兆円ではないか」と批判されてもいる。しかも、財政支出には「緊急支援」とは異なる性格の予算も計上されている。『V字回復』シナリオに秘められた政治的意図は何か。

安倍晋三首相が緊急事態宣言を出した4月7日、政府は新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(以下、コロナ経済対策)を閣議決定した。GDPの2割にあたる事業規模108兆円はリーマン・ショックの際(2009年4月・事業規模56・8兆円)の2倍近い。

「世界的に見ても最大級の経済対策」と安倍首相は自賛したが、国と地方と財政投融資を合わせた財政支出も39・5兆円で過去最大である。

金融市場から波及したリーマン・ショックと異なり、コロナ・ショックではヒトやモノの動きが突然停滞し、需要が蒸発するように消えていく。供給も、国境封鎖に近い状態ではグローバル経済の要であるサプライ・チェーンが機能不全に陥る。

コロナの発生前、日本経済はすでに深刻な需要不足だった。内閣府の試算によると、昨年10~12月期のGDPギャップは年率換算で約8兆円のマイナスで、経済財政諮問会議に民間議員が提出した資料(3月31日)は今年1~3月期は総供給に対する総需要の不足が20兆円程度まで拡大している可能性があるとしている。

デフレ・ギャップが拡大するなかでの緊急事態宣言である。対象となった東京、大阪、福岡など7都府県はGDPの半分に迫る経済圏で、野村総合研究所の試算によると、緊急事態宣言後の1カ月で7都府県の個人消費は6・8兆円失われる。

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